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のりくみにん
彼らはこの
陰気な、
国籍もわからない
船の
近くに
停泊している
他の
船がありましたから、ようすをきこうとその
船へ
近づいて、
乗組人に、「あの
船はどこの
船か
知らないか。」
船の
割にしては
多勢の
乗組人でありしが、この航海の事に
就ては色々お話がある。
「なんでも
乗組人は、
顔を
隠して
目ばかり
出しているといいます。」といいました。
ふと
眼に
入つたのは、
今、
此船の
責任を
双肩に
擔へる
船長が、
卑劣にも
此時、
舷燈の
光朦朧たるほとりより、
天に
叫び、
地に
泣ける、
幾百の
乘組人をば
此處に
見捨てゝ