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ちうゐ
それは
四面の
鐵檻の
堅牢なる
上にも
堅牢ならん
事を
望んで、
如何に
力強き
敵が
襲來ても、
决して
車中の
安全を
害せられぬ
爲の
特別の
注意である
相な。
だから
吾等が
海岸の
家を
出發する
時も、
櫻木大佐は
繰返して『
砂すべりの
谷を
注意せよ。』と
言はれたが、
吾等は
遂に
※つて、
此恐る
可き
死の
谷へ
陷込んだのである。
私も
少年も、
今猶ほ十
數日以來の
疲勞を
感じて
居るので、
其樣に
高歩きする
氣遣はないが、まして
此注意があつたので、
一層心を
配り、
食後は、
日記を
書いたり、
少年と
二人で
十度、これを
洗ひたるものは、
生れし
兒 清秀にして
貴し。
洗ふこと
二三度なるものは、
尋常中位の
人、まるきり
洗濯をしないのは、
昏愚、
穢濁にして、
然も
淫亂だ、と
教へたのである。