“すだ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:スダ
語句割合
巣立22.2%
隅田16.7%
16.7%
16.7%
簾垂5.6%
5.6%
5.6%
簀垂5.6%
5.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「わあっ。」と、いうこえがしました。しかし、もうすずめは、巣立すだっていませんでした。
すずめの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
常備の六波羅直属もいるが、ここをからにするわけにはゆかず、隅田すだ、高橋の五千が向っても破れ返った敵と考えると、うかつな計も立てられなかった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
虫が草間ですだいていた。そうして秋草が花咲いていた。草を分け露を散らし、光明優婆塞はひた走った。直江蔵人くらんどやかたのある鍵手ヶ原も走り過ぎた。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
艸花くさばな立樹たちきの風にまれる音の颯々ざわざわとするにつれて、しばしは人の心も騒ぎ立つとも、須臾しゅゆにして風が吹罷ふきやめば、また四辺あたり蕭然ひっそとなって、軒の下艸したぐさすだく虫ののみ独り高く聞える。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
書院というは名ばかり、几帳きちょう簾垂すだれ、脇息きょうそくしとね、目にうつるほどのものはみな忍びの茶屋のかくれ部屋と言ったなまめかしさなのです。
渡り切ると、不意に簾垂すだれの中から、吉三郎の奥州が、もじもじしながら恥ずかしそうに呼びとめました。
この戸棚とだな夜具やぐ蒲団ふとんもあるよとなにからなにまでのこらずしてすだすつてよ、つた当座たうざだから療治れうぢはないや、退屈たいくつだらうと思つて岩田屋いはたや御夫婦ごふうふて、四方山よもやまの話をしてると
心眼 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
肅殺なる秋野に興酣しておのづからすだくがごとし、謠ふものと聽くものと、等しく恍焉忘我の境に入ると雖も、荒凉慘澹、寧ろ耳を掩ふに遑あらず、詩豈活きざらむや。
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
迷亭先生もう善かろうと思って下を見ると、まだ十二三本の尾が蒸籠の底を離れないで簀垂すだれの上に纏綿てんめんしている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その日彼は山手の方へあてもなくブラブラ歩いて行った。茂みで鳥が啼いていた。野茨のいばらの赤い実が珠をつづり草の間では虫がすだいていた。ひどく気持ちのよい日和ひよりであった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)