“きせき”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:キセキ
語句割合
奇蹟77.2%
奇跡6.1%
其磧4.4%
鬼籍4.4%
奇石2.6%
其碩1.8%
貴戚1.8%
几席0.9%
軌跡0.9%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
小説家としての私の愚見も、あるいは、ひょっとしたら、ひとりの勇敢な映画人に依って支持せられるというような奇蹟きせきが無いものでもあるまい。
芸術ぎらい (新字新仮名) / 太宰治(著)
家柄だけに、笛の奇蹟きせきを信じ度いことは山々でせうが、娘一人を殺した相手が、鬼神や魔神の仕業しわざでは、親心が承知しなかつたのです。
彼は健全に生きていながら、この生きているという大丈夫な事実を、ほとんど奇蹟きせきごと僥倖ぎょうこうとのみ自覚し出す事さえある。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なかなかそこどころの沙汰さたではない、一生懸命いっしょうけんめい景色けしき奇跡きせきもあるものかい、お天気さえ晴れたか曇ったか訳が解らず
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「かんたんなことなんだ。きみだって説明せつめいをきけば、なーんだ、と思うよ。奇跡きせきがおこったのでも、なんでもないさ」
今更のように回顧かいこして、すべてが奇跡きせきのように考えられた。松千代が生きていた——これは自分の生きている以上の思いだった。奇跡以上の奇跡であった。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西鶴さいかく其磧きせき近松ちかまつの世話物などは、ともに世相の写し絵として、くりかえし引用せられているが、言葉の多い割には題材の範囲が狭い。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
西鶴其磧きせきよりくだつて近世の春水谷峨の一流に至るまで、多くは全心を注いで此粋と侠とを写さんことをつとめたり。
面白ずくに三馬や京伝や其磧きせき西鶴さいかくを偉人のように持上げても、内心ではこの輩が堂々たる国学または儒林の先賢と肩をならべる資格があるとは少しも思っていなかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
暗殺行為の片鱗へんりんが知られても、僕はこの上海から一歩も外に出ないうちに、銃丸じゅうがんらって鬼籍きせきに入らねばならない。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
三吉が捕方に向う六時も前、午過ぎの九つ半に、富五郎は卒中ですでに鬼籍きせきに入っていたのだとのこと。
養母の鶴勝はその悦びを共にすることを得ず、もはや鬼籍きせきにはいっていた。
竹本綾之助 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
も諸家の奇石きせきを見しに皆一家のをさむる処三千五千しゆにいたる、五日十日の日をつくしてやう/\をふる㕝をるにいたる
も諸家の奇石きせきを見しに皆一家のをさむる処三千五千しゆにいたる、五日十日の日をつくしてやう/\をふる㕝をるにいたる
はたして! 四めん玲瓏れいろうみねひいたにかすかに、またと類なき奇石きせきであつたので
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
何しろ学問は打棄うつちやつて西鶴が么麼どうしたの其碩きせきが么麼したの紅葉はえらいのさゞなみは感心だのと頻りに肩を入れられるさうナ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
正徳元年板其碩きせきの『傾城禁短気けいせいきんたんき』に「この津の橋々に隠れなき名題の呂州(風呂屋女を指す)猿女上人」、一向宗の顕如けんにょに猿をいいかけたり。
この話で思い出したは享保二十年板其碩きせきの『渡世身持談義』五
その内にふと耳にはいったのは、貴戚きせき王氏おうしが秋山図を手に入れたといううわさです。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
が、この覚悟はありながら、一面には極めて狷介で人に下るを好まないと同時に、一面には人に対して頗る臆病であって、つてを求めて権門貴戚きせきに伺候するはおろか、先輩朋友の間をすらも奔走して頼んで廻るような小利口な真似は生得しょうとく出来得なかった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
草堂の周りは早春の光なごやかに幽雅な風色につつまれている。ふと、堂上を見れば、几席きせきのうえにのびのびと安臥あんがしている一箇の人がある。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吟じおわると、孔明は、身をひるがえして、几席きせきを離れた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……彼が自分でめたバットの銀紙で球を作りながら、時々その重量と直径とを比較して行くうちに、直径の三乗と重量とが正比例して増加して行く事を、方眼紙にドットして行った点の軌跡きせきの曲線から発見し得た時の喜びようは、今でもこの眼にこびり付いている。
木魂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)