其磧きせき)” の例文
西鶴さいかく其磧きせき近松ちかまつの世話物などは、ともに世相の写し絵として、くりかえし引用せられているが、言葉の多い割には題材の範囲が狭い。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
西鶴其磧きせきよりくだつて近世の春水谷峨の一流に至るまで、多くは全心を注いで此粋と侠とを写さんことをつとめたり。
面白ずくに三馬や京伝や其磧きせき西鶴さいかくを偉人のように持上げても、内心ではこの輩が堂々たる国学または儒林の先賢と肩をならべる資格があるとは少しも思っていなかった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「読本といふもの、天和てんな西鶴さいかくに起り、自笑じしょう其磧きせき宝永正徳ほうえいしょうとくに鳴りしが馬琴には三舎すべし」
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
江戸に芭蕉起りて幽玄なる禅道の妙機をひらきて、主として平民を済度さいどしつゝありし間に、難波には近松巣林子出でゝ艶麗なる情筆をふるひて、一世の趣味を風靡ふうびしたり、次いで西鶴、其磧きせきの一流立ちて
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)