すく)” の例文
温泉をんせんかうとして、菊屋きくや廣袖どてら着換きかへるにけても、途中とちう胴震どうぶるひのまらなかつたまで、かれすくなからずおびやかされたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かのユスティニアーノ汝のためにくつわ調とゝのへしかど、鞍空しくば何の益あらむ、この銜なかりせば恥は却つてすくなかるべし 八八—九〇
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
二人ふたり呉服屋ごふくや反物たんものつてた。米屋こめやからこめつてつた。けれども其他そのたには一般いつぱん社會しやくわいところきはめてすくない人間にんげんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
げんさんは会社かいしゃにつとめて、ごくほがらかな性質せいしつでありましたが、さんはそれにくらべて口数くちかずすくない、うちきなところがありました。
クラリネットを吹く男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なんでもこれは人数にんずうすくなくともよりぬきのつよ武士ぶしばかりでかけて行って、ちからずくよりは智恵ちえ工夫くふうをしなければなりません。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
月野博士はかせはロウエル教授けうじゆおなかんがへで 火星くわせいは水がすくない そこで運河うんがへは火星じんが大仕掛じかけ給水きふすゐポンプで水をくばるといふのぢや
岡は言葉すくなながら、ちかちかとまぶしい印象を目に残して、降り下り降りあおる雪の向こうに隠見する山内さんない木立こだちの姿を嘆賞した。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
御身おんみるとおり、こちらの世界せかいではこころ純潔じゅんけつな、まよいのすくないものはそのまま側路わきみちらず、すぐに産土神うぶすなのかみのお手元てもときとられる。
竹村たけむらは一ねんたつかたゝないうちに、大久保おほくぼかへつてたのに失望しつばうしたが、大久保おほくぼ帰朝きてうさびしかつたことも、すくなからずかれいたましめた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
徳利式とくりしき貝塚土器かひづかどきは、東北とうほくおほくして、關東くわんとうにははなはすくない。——ないことはないが、たとしたら異例ゐれいつてもい。
ゆめ五臟ござうのわづらひといひつたふれども正夢しやうむにして賢人けんじん聖人せいじん或は名僧めいそう知識ちしきの人をむは天竺てんぢく唐土もろこし我朝わがてうともにそのためすくなからずすで玄奘法師げんさうほふしは夢を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
然るにポルトセイドに着き、いよいよ熱帯圏に入ると、気候の激変から病が俄にあらたまって、コロンボへ入港したころは最早たのみすくなになって来た。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
かぬ小供こどもすくないとして其中そのうちにも自分じぶん小供こどもときなによりもきであつた。(と岡本某をかもとぼうかたりだした)。
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
きに奇貨きかとし重んじたるの敵国の人物をもくして不臣不忠ふしんふちゅうとなえ、これを擯斥ひんせきして近づけざるのみか、時としては殺戮さつりくすることさえすくなからず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
患者かんじゃおおいのに時間じかんすくない、で、いつも簡単かんたん質問しつもんと、塗薬ぬりぐすりか、※麻子油位ひましあぶらぐらいくすりわたしてるのにとどまっている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
自分じぶん濡鼠ぬれねずみやうになつてことも、すくなからず潮水しほみづんではらくるしくなつてことわすれて、むねおどろきよろこびに、をどりつゝ、じつながむる前方かなた海上かいじやう
自己の希望がものの符合ふごうすればよいが、なかなかそううまくゆくことがすくないから、結局感情にられてすことは、そむくこととなりやすい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
上海シヤンハイがへえつちやぐつとさがつちやつてな、あつちぢやどれほどやすいもんだかよ、しなすくねえときやすくなるつちうんだから商人あきんどまうからねえ」天秤てんびんかついでかれまたさら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
三二 千晩せんばだけは山中にぬまあり。この谷は物すごくなまぐさのするところにて、この山に入り帰りたる者はまことにすくなし。昔何の隼人はやとという猟師あり。その子孫今もあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これも、うたにはすくない材料ざいりようで、はるかすんでてがなくかんじられるうへに、みんなこゝろののんびりしてゐる氣持きもちが、よくてゐて、しかも非常ひじよう古風こふう上品じようひん出來できてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
つかはさるべきお約束やくそくとや、それまでのお留守居るすゐまた父樣とうさまをりふしのお出遊いでに、人任ひとまかせらずは御不自由ごふじいうすくなかるべく、何卒なにとぞ其處そこまはせて、白波しらなみ浦風うらかぜおもしろく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なりおほきな物價ぶつか變動へんどうであつて、此間このあひだすくなからざる商賣しやうばい不圓滑ふゑんこつきたしたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
マーキュ 何人なんにん? いや、足下おぬしのやうなのが二人ふたりとゐたら、たちまころしあうてしまはうから、二人ふたりともゐなくならう。はて、足下おぬしなぞはひげすぢおほすくないがもとでもたゝふ。
かれは、んだ金魚きんぎょが三びきで一万円まんえんはしたろうということや、自分じぶん月給げっきゅうすくなく、とてもあんなのはえないということを、くりかえし同僚どうりょうはなしたし、また事件発見者じけんはっけんしゃ島本医学士しまもといがくしにまで
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
人びとはその仕事を仕上げるにどのくらいかかるかというとりとめのない議論ぎろんを始めた。結局けっきょくすくなくともこのはかの中にこの後八日ははいっていなければならないことに意見が一致いっちした。八日。
当今の電車と違って、次の車に乗ってあとをつけるという訳には行きません。何しろ車台がすくのござんすからね。私は仕方がないので母親にもらったお小遣いをふんぱつして、人力車に乗りました。
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
伴「すくねえが切餅きりもちをたった一ツ取って置いてくんねえ」
よばるゝものはおほしといへどもえらばるゝものすくなし。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それでは、かうかな、現實とは、すくなくとも
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
おそときすくなく文意ぶんいつくさずこれりようせよ)
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
すくなくとも、自分丈では、ちゝから受ける物質的の供給がもう絶えたものと覚悟する必要があつた。代助の尤も恐るゝ時期は近づいた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ひかりがかげって、天気てんきわりそうになったので、そばにっている人々ひとびとは、しだいにすくなく、みんなあちらにいってしまいました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もつと先祖せんぞ武家出ぶけでであらうが、如何いかにもくだんの、ならばが、ともだちのみゝさはつて聞苦きゝぐるしい。自然しぜんにつきあつてあそぶものもすくなくなる。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わが目もいつかこゝにて我より奪はるゝことあらむ、されどそは暫時しばしのみ、その嫉妬ねたみのために動きて犯せる罪すくなければなり 一三三—一三五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かくかれ醫科大學いくわだいがく卒業そつげふして司祭しさいしよくにはかなかつた。さうして醫者いしやとしてつるはじめにおいても、なほ今日こんにちごと別段べつだん宗教家しゆうけうからしいところすくなかつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
中西屋なかにしや結構けつかうです、近來きんらい益〻ます/\いやうです。さうだねきみ。』と兔角とかく言葉ことばすくない鈴木巡査すゞきじゆんさ贊成さんせいもとめた。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
追散おつちらしたれば夫がえんとなり御當地までも同道どうだう致したるなり何にしても便たよすくなき夫婦の者どうか貴樣の世話を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
じつに、きみ經歴けいれき小説せうせつのやうです。』とつたまゝ暫時しばしわたくしかほながめてつたが、物語ものがたりうちでも、春枝夫人はるえふじん殊勝けなげなる振舞ふるまひには、すくなからずこゝろうごかした樣子やうす
新院しんいん味方みかたせいすくないので心配しんぱいしておいでになるところでしたから、為朝ためともたとおきになりますと、たいそうおよろこびになって、さっそくおそばにんで
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
で、わたくしがこちらの世界せかいはじめて自分じぶん守護霊しゅごれいにおにかかったときは、すくなからず意外いがいかんじまして、したがってそのとき印象いんしよういまでもはっきりと頭脳あたまきざまれてります。
はれさくごと到着たうちやくしてると、新聞連しんぶんれん今日けふすくない。坪井博士つぼゐはかせ歸京ききやう準備じゆんびをしてられる。博物館はくぶつくわんからは、和田氏わだし一人ひとりだけだ。しかし、高等野次馬かうとうやじうま非常ひじやうおほい。
あしはこたまはゞしのぶがおか緑樹りよくじゆあさつゆ、寐間着ねまきのまゝにもたまふべし、螢名所ほたるめいしよ田畑たばたちかかり、たゞ天王寺てんわうじちかために、はあまりすくなからねど、はらふにかげ十分じふゞんなり
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
投機思惑とうきおもわくまればまた爲替相場かはせさうば急激きふげきさがるのであり、此爲替相場このかはせさうば急激きふげきなる騰落とうらくは、經濟界けいざいかいすくなからざる打撃だげきあたへたことを體驗たいけんしてるからして、それであるから投機思惑とうきおもわくかね買取かひと
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
ひめおなおもひながら、ふべき傳手つてさらすくなし。
またよるはなるべくそとずに、しろかげないものと、はやくからめてしまうような臆病者おくびょうものすくなくはなかったのであります。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
此日このひ宗助そうすけかくもとおもつて電車でんしやつた。ところ日曜にちえう好天氣かうてんきにもかゝはらず、平常へいじやうよりは乘客じようきやくすくないのでれいになく乘心地のりごゝちかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
風俗ふうぞく派手はででない、をんなこのみ濃厚のうこうではない、かみかざりあかいものはすくなく、みなこゝろするともなく、風土ふうどふくしてるのであらう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ねつたのとですくなからずよわつ身體からだをドツかとおろすと眼がグラついておもはずのめりさうにした。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
とにかく、かれ医科大学いかだいがく卒業そつぎょうして司祭しさいしょくにはかなかった。そうして医者いしゃとしてつるはじめにおいても、なお今日こんにちごと別段べつだん宗教家しゅうきょうからしいところすくなかった。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
武村兵曹たけむらへいそうへば快活くわいくわつことと、それから砲術ほうじゆつたくみことと、また腕力わんりよく馬鹿ばかつよこととで、日本海軍につぽんかいぐん水兵仲間すいへいなかまにはすくなからずかほれてつたをとこなので、いまはからずも