“前方”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むこう23.5%
ぜんぽう21.4%
まえ15.3%
さき10.2%
まえかた6.1%
まへがた4.1%
まへ3.1%
まへかた3.1%
めえがた3.1%
かなた2.0%
まえがた2.0%
むかう2.0%
せんぱう1.0%
ぜんほう1.0%
めいがた1.0%
カミ1.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
前方むこうを見ると高い山が半天にそそりたっていた。曾はとてもその山を越えることができないと思った。曾は妻と向きあって泣いた。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
かれは、懐中かいちゅうから、スケッチちょうして、前方ぜんぽう黄色きいろくなった田圃たんぼや、灰色はいいろにかすんだはやし景色けしきなどを写生しゃせいしにかかったのであります。
丘の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
気のせいかな、と前方まえ暗黒やみを見透しながら、早耳三次が二、三歩進んだ時、橋の下で、水音が一つ寒々と響き渡った。
それでは魔物まもの不承知ふしようちぢや。前方さきちつとも無理むりはねえ、るもらぬもの……出来でき不出来ふでき最初せえしよから、お前様めえさまたましひにあるでねえか。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いや、その前方まえかた、燈籠の蔭には、七兵衛でない他の者の姿も、ちらりと影を見せたことがあります。多分、例の隠密おんみつでしょう。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
『そんなことめ!』と女王樣ぢよわうさまさけんで、『眩暈めまひがする』それから薔薇ばら振向ふりむいて、『なにをお前方まへがた此處こゝでしてたのか?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
山内は顔を真赤まつかにして会釈して、不即不離つかずはなれずの間隔をとつて、いかにも窮屈らしい足調あしどりで、十間許り前方まへをチヨコ/\と歩いた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
うちにも前方まへかたからこんな出来のが一幅欲しい欲しい思つてましたんやが、さて欲しいとなると、却々なか/\手に入りよらんでなあ。」
角「お前方めえがたは年がわけえからいまだいくらも子が出来るよ、おらア四十二歳になるが、いまだに子がねえから、斯ういう子を貰ってけば、こんな有難ありがてえ事はねえ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
自分じぶん濡鼠ぬれねずみやうになつてことも、すくなからず潮水しほみづんではらくるしくなつてことわすれて、むねおどろきよろこびに、をどりつゝ、じつながむる前方かなた海上かいじやう
そして酒たけなわなる時「おれはお前方まえがたの供をして、大ぶ世話になったことがあるが、今日は己もお客だぞ」といった。大丈夫だいじょうふ志を得たという概があったそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ところへ、荷車にぐるまが一だい前方むかうから押寄おしよせるがごとくにうごいて、たのは頬被ほゝかぶりをした百姓ひやくしやうである。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そこで、感情かんじやうがいしてるなと、此方こつちではおもつてる前方せんぱうが、くだん所謂いはゆる帳場ちやうばなるもの……「貴女あなた、これはつてかれますか。」とつた。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
看上みあぐるばかりの大熊手おほくまでかつぎて、れい革羽織かはばおり両国橋りやうごくばしの中央に差懸さしかゝ候処そろところ一葬儀いちさうぎ行列ぎやうれつ前方ぜんほうよりきたそろくるによしなくたちまちこれ河中かちう投棄なげすて、買直かいなほしだ/\と引返ひきかへそろ小生せうせい目撃致候もくげきいたしそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
「家のせがれもはア、色気が附いて来ただで、近い中に湯田中に遣らずばなるめい、お前方めいがた附いて居て、間違のいやうに遊ばして呉らつしやれ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
竃に——或はかまどの前方カミにか——はやしの木柴(?)を立て定めて、旅人我の魂を浄め籠めて置かう。
万葉集研究 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)