“暗黒”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
やみ35.3%
くらやみ25.0%
あんこく22.1%
まっくら7.4%
くらき4.4%
くらがり2.9%
くらさ2.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
暗黒やみの中にじいっとしているような心持だった。ときどき人声がした。枕頭を歩き廻る跫音も聞こえた。眼も少しは見えるようだった。
源次の姿を吸い込んで行った斜坑の暗黒くらやみに向って、人知れずソッと頭を下げてみたいようなタヨリない気持にさえなったのであった。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ここでは月は、まるで大地のようにはてしなくひろがり、そして地球は、ふりかえると遥かの暗黒あんこくの空に、橙色だいだいいろに美しく輝いているのであった。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「私の前身は暗黒まっくらだった。ここへ来てようやく光りをみつけた。だがその光りは消えようとしている。そうしたら二倍の闇となろう」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
何思う間もなくたちまち深井しんせい暗黒くらきにおちたるこの身は、何の楽しみあり、何のかいありて、世にながらえんとはすべき。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
救いにきたった人々に仔細わけを話して、七兵衛も共々に其処そこらを尋ね廻ったが、何分にも暗黒くらがりと云い、四辺あたりには森が多いので、更に何の手懸てがかりも無かった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「こういう所にも住む人がある。静寂しずけさ暗黒くらさ、非人情! だがこれもいいかもしれない。恐らく悩みはないだろう」うっとりと仮面おもてへ眼をやった。「まるで生首でも並んでいるようだ」
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)