ばか)” の例文
これにばかされて、一つ出かけて行って巴里と世間話でもしてくるかな——ロメオ&ジュリエット——というわけで
餘り其處そこらが奇麗なので、自分は始、狐にばかされてゐるのでは無いかと思ツたけれども自分は、夢を見てゐるのでも無ければきつねばかされてゐるのでも無い。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
眞晝間まつぴるまつきものがしたか、ばかされてでもるやうで、そのね、ふさんだをとこなんざ、少々せう/\氣味きみわるかつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『芳一さん!——芳一さん!』下男達は声をかけた『貴方は何かにばかされているのだ!……芳一さん!』
耳無芳一の話 (新字新仮名) / 小泉八雲(著)
これは小千谷の下た町といふ所の酒楼しゆろう酌採しやくとり哥妓げいしやどもなり、岩居がんきよ朋友はういうはかりてひそかこゝまねきおきてきやうさせんためとぞ。かれは狐にあらずして岩居がんきよばかされたるなり。
眉毛につばを塗ると毛が付き合うて、狐その数を読む能わず、したがってばかす事がならぬとあるを読んで大いに解り、〈人書を読まざればそれなお夜行のごとし〉と嘆じた。
『あそこは、恰度鉄道が曲るやうになつて居るのでせう。あそこで毎歳人が死ぬのですよ。それで、あそこへ行けば狐がばかしてレールの中へ引張り込むのだとよく云ひますよ』
なんと魂消たなア、われがそんな心と知んなえで惣次郎がでかい金え使って、うちい連れて来て、真実な女と思ってばかされたのが悔しいだ、そういう畜生ちきしょうの様な心ならたった今出てけやい
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
当時この話遠近に伝わりて、人はみな「某はきつねばかされたり」と称せり。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それも、これも、私がばかされたのかも知れない。間淵に、例の「魔道伝書」がありましょう。女房に相伝していないと言われますか——お聞きになれば分るんですが。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これは小千谷の下た町といふ所の酒楼しゆろう酌採しやくとり哥妓げいしやどもなり、岩居がんきよ朋友はういうはかりてひそかこゝまねきおきてきやうさせんためとぞ。かれは狐にあらずして岩居がんきよばかされたるなり。
あたまから狐にばかされたと思込むで了ツて、自分は氣をたしかに持ツた積で、ただ無茶苦茶にあるいた。
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
芳一が何かにばかされていたのは確かなので、一同は芳一をつかまえ、その身体からだをもち上げて起たせ、力まかせに急いで寺へつれ帰った——そこで住職の命令で、芳一は濡れた著物を脱ぎ
耳無芳一の話 (新字新仮名) / 小泉八雲(著)
これは妖怪にばかされたか、あるいは自分はろくろ首の家におびきよせられたのだ。
ろくろ首 (新字新仮名) / 小泉八雲(著)
きつねに、ばかされたのぢやないか。」
水郷 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
「また出て、ばかしくさるずらえ。」
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしもし本当にばかされているのなら、この若者は叱るよりむしろ憐むべきものであった。それで無理に干渉がましき事をすれば却って害になると老人は思った。そこで足軽はやさしく答えた。
忠五郎のはなし (新字新仮名) / 小泉八雲(著)