忠五郎のはなしちゅうごろうのはなし
昔、江戸小石川に鈴木と云う旗本があって、屋敷は江戸川の岸、中の橋に近い所にあった。この鈴木の家来に忠五郎と云う足軽がいた。容貌の立派な、大層愛想のいい、怜悧な若者で、同僚の受けも甚だよかった。 忠五郎は鈴木に仕えてから数年になるが、何等非難 …