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髯面
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ひげづら
ふりがな文庫
“
髯面
(
ひげづら
)” の例文
クリストフはそのカルタゴの偶像みたいな
髯面
(
ひげづら
)
が戸口に現われるのを見ると、いつもまっ先に我慢しかねるような様子をするのだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
すると老浮浪者は、ごそごそする
髯面
(
ひげづら
)
を左右にふった。道夫はそれを見ると、さっきからこらえていた
憤慨
(
ふんがい
)
を一時に爆発させて
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
随分
怜悧
(
りこう
)
な
芸妓
(
げいしゃ
)
でも、
可
(
い
)
い加減に年を取った
髯面
(
ひげづら
)
野郎でも、相手にせずに其処へ坐らせて置いて少し上品な談話でも仕て居ると
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この
切支丹
(
キリシタン
)
文化の花園に教育された小ましゃくれた美少年を見ながら、その親の伊東義益という男の、
我武者
(
がむしゃ
)
な
髯面
(
ひげづら
)
を聯想したからである。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……
年増女
(
としまおんな
)
は、ボール紙の王冠を落したのを気付かぬまま、威張ってあるきまわり……それを拝んでいた
髯面
(
ひげづら
)
の大男は、拝みくたびれたかして
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
程もあらせず、……廊下を急いで、もっとも授業中の遠慮、
静
(
しずか
)
に教員控所の板戸の前へ敷居越に
髯面
(
ひげづら
)
……というが
頤
(
あご
)
頬
(
ほお
)
などに貯えたわけではない。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
よしんば、ちっとやそっと、何か云ったって小供じゃありませんか、
髯面
(
ひげづら
)
の
大僧
(
おおぞう
)
の癖にしかも教師じゃありませんか
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
其の日私は彼に悪魔除けのメレックと称する
髯面
(
ひげづら
)
男の像を作って来るようにいいつけた。二三日して老人の持って来たものを見ると、仲々巧く出来ている。
南島譚:03 雞
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その内に
未醒
(
みせい
)
画伯の巨大なる
躯幹
(
くかん
)
がノッソリ現われると、間もなく吉岡将軍の
髯面
(
ひげづら
)
がヌッと出て来る。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
四十年配の少し世の中を茶にしたような
髯面
(
ひげづら
)
が、それでも
慇懃
(
いんぎん
)
にガラッ八の前へ小腰を屈めました。
銭形平次捕物控:058 身投げする女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それが人に化けたような乱髪、
髯面
(
ひげづら
)
、毛むくじゃらの手、
扮装
(
いでたち
)
は黒紋付の
垢染
(
あかじ
)
みたのに
裁付袴
(
たっつけばかま
)
。
怪異黒姫おろし
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
『来た、来た。』と、背の低い駅夫が叫んだので、フオームは
俄
(
には
)
かに色めいた。も一人の
髯面
(
ひげづら
)
の駅夫は、中に人のゐない改札口へ行つて、『来ましたよウ。』と怒鳴つた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
わめき立てる
髯面
(
ひげづら
)
の男は、二人のうちでつまらぬほうの男であるとわかった。
城
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
金鉱が発見されてからは、
成金
(
なりきん
)
を夢見る山師たちが、
鶴嘴
(
つるはし
)
をかついで、ほうほうたる
髯面
(
ひげづら
)
を炎熱に
晒
(
さら
)
して、野鼠の群のように通行したところで、今では
御伽話
(
おとぎばなし
)
か、
英雄譚
(
えいゆうたん
)
の古い舞台になっている。
火と氷のシャスタ山
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
さしもの遊民どもが手出しができないのみならず、あいた口がふさがらないのは、その
荒
(
あ
)
れっぷりの乱暴と迅速とのみならず、六尺豊かの
髯面
(
ひげづら
)
の大男の、威勢そのものに呑まれてしまったからです。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そこへ一人、
髯面
(
ひげづら
)
の男が、見物人を掻き分けて出て行った。
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
するとある折、
綽名
(
あだな
)
をバテレンとも神父サンとも呼ぶ
髯面
(
ひげづら
)
の老工員が、ぼくを
上眼
(
うわめ
)
ごしでジロと見、「よしな。おめえは」と、ぼくを睨んだ。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
光景
(
ありさま
)
に、驚いたか、湯殿口に立った
髯面
(
ひげづら
)
の紳士が、
絽羽織
(
ろばおり
)
の
裾
(
すそ
)
を
煽
(
あお
)
って、庭を切って
遁
(
に
)
げるのに心着いて、屋根から
飜然
(
ひらり
)
……と飛んだと言います。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
相手は、ぎょっとして道夫の顔を
仰
(
あお
)
いだ。道夫はそのとき老人が
髯面
(
ひげづら
)
に色眼鏡をかけているのを見て取った。
四次元漂流
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
書き損ねの
達磨
(
だるま
)
のような
髯面
(
ひげづら
)
を
歪
(
ゆが
)
めて、銅六はニヤリニヤリと笑うのです。
銭形平次捕物控:055 路地の小判
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
側
(
かたわら
)
から吉岡信敬将軍、
髯面
(
ひげづら
)
を
突出
(
つきだ
)
して
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
「大きゅうなられたな。木下家の奥に仕えていると聞いたが、早いものよ。わしが手に抱いて頬ずりすると、この
髯面
(
ひげづら
)
を痛がって、顔を掻いたりしたものじゃが……」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
変哲な法服と、
髯面
(
ひげづら
)
が紛れもありません。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、にわかに、せきこんで、
髯面
(
ひげづら
)
を突き出した。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長柄
(
ながえ
)
を持った
髯面
(
ひげづら
)
の郎党が
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
髯
漢検1級
部首:⾽
15画
面
常用漢字
小3
部首:⾯
9画
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髯
髯籠
髯男
髯切
髯剃
髯旦
髯武者
髯侍
髯深
髯跡