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かうとうがくかう
濱島武文とは
私がまだ
高等學校に
居つた
時分、
左樣かれこれ十二三
年も
前の
事であるが、
同じ
學びの
友であつた。
「
宗さん、あれこそ
本當に
小六が
使つちまつたんですよ。
小六が
高等學校へ
這入つてからでも、もう
彼是七百
圓は
掛かつてゐるんですもの」と
答へた。
我國野球界の
覇王ともいふ
可き
第一
高等學校の
撰手を
打破つた
事は、
私が
此島へ
漂着する
半年程前、
英國倫敦でちらと
耳にした、
之れはもう
今から三四
年も
前の
事だが、
實に
殘念な
次第である。
小六は
其時中學を
出て、
是から
高等學校へ
這入らうといふ
間際であつた。
宗助を
見て、「
兄さん」とも「
御歸りなさい」とも
云はないで、たゞ
不器用に
挨拶をした。