領分りょうぶん)” の例文
そしてそのてんでんのくににいかめしいおしろをかまえて、すこしでも領分りょうぶんをひろめようというので、お隣同士となりどうし始終しじゅう戦争せんそうばかりしあっていました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
医者いしゃは、それは自分じぶん研究けんきゅうすべき領分りょうぶんでないことをかんじました。そして、あたまをかしげて、そのいえからってしまったのです。
笑わない娘 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「一面どころじゃありません。そらのはずれから地面じめんそこまですっかり光の領分りょうぶんです。たしかに今は光のお酒が地面のはらそこまでしみました。」
チュウリップの幻術 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
どさくさまぎれに、甲州こうしゅうから信濃しなのの国をわが物にして、こっそり領分りょうぶんをふくらませてしまった。——だが、まずゆくゆくの天下取りは、どうしても秀吉だろうな。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのときには、もちろん、黒ネズミの領分りょうぶんである町の中へはいっていく勇気ゆうきはありませんでした。
しかもまん中をとおって行くほかに海の魔女の領分りょうぶんにはいる道はありませんし、それも、ながいあいだ、ぶつぶつ煮えて、あわだっているどろ沼をわたって行くよりほかに道はないのです。
その答えは彼の領分りょうぶんではなかったから。
(新字新仮名) / 海野十三(著)
ここは、どこだかおれにもわからない。だが、このあるいているはばひろ一筋ひとすじみちは、おれたちの領分りょうぶんだということができる。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
為朝ためともおにしまたいらげたついでに、ずんずんふねをこぎすすめて、やがて伊豆いず島々しまじまのこらず自分じぶん領分りょうぶんにしてしまいました。そしておにしまから大男おおおとこ一人ひとりつれて、大島おおしまかえってました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「ほ……秀吉が? フーン猿面さるめんめ、じょさいないことをやりおって、うまく伊那丸をきこもうという腹だな。だがよいわ、まさかに家康いえやす領分りょうぶんまで、その軍兵ぐんぴょうがクッついてもいけないだろう」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここでいちばんにものぐるいにねこたたかって、うまくてば、もうこれからはの中になにもこわいものはない、天井裏てんじょううらだろうが、台所だいどころだろうが、かべすみだろうが、天下てんかはれてわれわれの領分りょうぶんになるし
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「フーン。すると徳川家とくがわけ領分りょうぶんだな」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)