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銷沈
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しょうちん
ふりがな文庫
“
銷沈
(
しょうちん
)” の例文
この言葉の間に、二人の間の殺気は、自から
銷沈
(
しょうちん
)
した。闇太郎の姿は、静かな立ち姿に変り、武士の
扇子
(
せんす
)
は、下げられた。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
神経の支配をいっそう受ける青春時代には、
激昂
(
げっこう
)
の時期と
銷沈
(
しょうちん
)
の時期とが、急激な勢いで交互にいつも襲ってきた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「猫はどうでも好いが、着物をとられたので寒くていかん」と
大
(
おおい
)
に
銷沈
(
しょうちん
)
の
体
(
てい
)
である。なるほど寒いはずである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが過剰になると憂鬱になったり感傷的になったり怒りっぽくなったりするし、また、過少になると意気
銷沈
(
しょうちん
)
した
不感
(
アパシー
)
の状態になるのでないかと思われる。
五月の唯物観
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
周君のこのごろの
銷沈
(
しょうちん
)
は、私たちが Leichnam をあまりに無雑作に取扱うので、それで医学にも
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
「まあ、いいじゃないか」と相川は眉を揚げて、自分で自分の
銷沈
(
しょうちん
)
した意気を励ますかのように見えた。
並木
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
一種の正直な意気
銷沈
(
しょうちん
)
と清い公平とをもって、すべてのことに正しい批判を下していた。彼の判断力は、ほとんど希望から分離して、超然として高く舞っていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その時から比べると、病気はそれほど重くも見えなかったが、元気は
全
(
まる
)
で
失
(
な
)
くなって頗る
銷沈
(
しょうちん
)
していた。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
いかなる強国でも、大きな一敗をうけると、その後は当然、士気も衰え、民心を
銷沈
(
しょうちん
)
するのが常である。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その説明書を読みおわってしまうと間もなく、彼は帰って行ったが、私はいままで、この善良な紳士がこれほどすっかり意気
銷沈
(
しょうちん
)
しているのを見たことがなかった。
盗まれた手紙
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
手紙の方は家庭争議の種になるし、今更もとの駄墨で描く気はなし、当分のうちは意気
銷沈
(
しょうちん
)
していた。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
伸子の、がらんと空虚に
銷沈
(
しょうちん
)
しがちな心に生気をふきこむのは、素子との新たな結びつきであった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
下妻の若侍たちは、平尾出場の噂に、仕合に出ない先からもう負けたつもりで
銷沈
(
しょうちん
)
している。
平馬と鶯
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
故郷で詐欺紳士として逮捕せられかかったというので、彼は確かにいささか意気
銷沈
(
しょうちん
)
してしまっていた——もっともある程度まで、それは当然なことだと思ってはいたのだが。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
田川大作は意気
銷沈
(
しょうちん
)
の姿であり、何事についてもほとんど発言しなくなっていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
探偵小説家の
梅野十伍
(
うめのじゅうご
)
は、机の上に原稿用紙を
展
(
の
)
べて、意気
甚
(
はなは
)
だ
銷沈
(
しょうちん
)
していた。
軍用鼠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
止
(
よ
)
せよ、……今、酒を追加する……小豆は意気を
銷沈
(
しょうちん
)
せしめる。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と熊城は
銷沈
(
しょうちん
)
したように呟くのだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ただおのずから意気
銷沈
(
しょうちん
)
して、ダメになり、笑う声にも力が無く、そうして、妙にひがんだりなんかしてね、ついには破れかぶれになり、男のほうから女を振る
人間失格
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
精霊のごとく
潔
(
きよ
)
らかなふたりは、互いにすべてを語り合った、その夢想、その心酔、その歓喜、その空想、その
銷沈
(
しょうちん
)
、遠くからいかに慕い合っていたかということ
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
十二
刻
(
とき
)
(一昼夜)の
御別行
(
ごべつぎょう
)
(
服喪
(
ふくも
)
)だけでも、このさい過分至極なのに、もしお体にでもさわっては一大事ですし、また、陣中どことなく
銷沈
(
しょうちん
)
のていにもござります。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
萎
(
しお
)
れた正太を見ると、何とかして三吉の方ではこの甥の
銷沈
(
しょうちん
)
した意気を引立たせたく思った。彼はいくらかを正太の前に置いた。それがどういう
遣
(
つか
)
い道の金であるとも、深く
鑿
(
ほ
)
って聞かなかった。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
アルノーは精神的
銷沈
(
しょうちん
)
の時期にさしかかっていた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
次男は、意気
銷沈
(
しょうちん
)
の
態
(
てい
)
である。かえす言葉も無く、ただ、
幽
(
かす
)
かに苦笑して母のこごとを聞いている。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
なお昔のとおり快活で激烈ではあったが、その快活さも悲しみと怒りを含んでるかのように
痙攣的
(
けいれんてき
)
の
峻酷
(
しゅんこく
)
さを帯び、その激烈さも常に一種の静かな
陰鬱
(
いんうつ
)
な
銷沈
(
しょうちん
)
に終わった。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
喪に服して意気
銷沈
(
しょうちん
)
している所へ
押襲
(
おしよ
)
せれば、残る呉軍を殲滅し得ることは疑いもありませぬ
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
急に正太は意気の
銷沈
(
しょうちん
)
を感じた。叔父と一緒に引返した。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
宿大臣閣下は、
供奉
(
ぐぶ
)
の随員、宮廷武官、小者など、あわせて六、七十名と共に、ごッそり、少華山の
人質
(
ひとじち
)
となってしまい、意気も
銷沈
(
しょうちん
)
、
粥
(
かゆ
)
も水も、
喉
(
のど
)
に通らぬほどな
悄
(
しょ
)
ゲかただった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「どこだって、いいじゃないか。」佐伯は、先刻から意気
銷沈
(
しょうちん
)
している。まるで無意志の犬のように、ぶらりぶらり、だらしない歩きかたをして、私たちから少し離れて、ついて来る。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
彼のすべての様子は、屈従と決意と一種の雄々しい
銷沈
(
しょうちん
)
とを示していた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そこへ、悪来と
夏侯淵
(
かこうえん
)
に扶けられた曹操が、馬の鞍に抱えられて帰ってきたので、全軍の士気は墓場のように
銷沈
(
しょうちん
)
してしまい、
滅失
(
めっしつ
)
の色深い陣営は、旗さえ朝露重たげにうなだれていた。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、
腑
(
ふ
)
がいない又八の
銷沈
(
しょうちん
)
している姿が、
他人事
(
ひとごと
)
ならずに、眺められる。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また間には、家中の妻子や病者を見舞ったり、とかく意気
銷沈
(
しょうちん
)
しやすい郎党たちをも励ましてまわるなど、まったくもう一度、秀吉がまだ貧乏時代であった頃の一主婦に立ち
還
(
かえ
)
っているすがただった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その翌る日、呂布は少し
銷沈
(
しょうちん
)
して劉備を城へ訪ねて来た。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“銷沈”の意味
《名詞》
銷沈(しょうちん)
消え失せること。気力などが衰えること。
(出典:Wiktionary)
銷
漢検1級
部首:⾦
15画
沈
常用漢字
中学
部首:⽔
7画
“銷”で始まる語句
銷磨
銷
銷夏
銷遣
銷除
銷尽
銷閑
銷魂
銷麗