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とほりこ
わびしさ……
侘しいと
言ふは、
寂しさも
通越し、
心細さもあきらめ
氣味の、げつそりと
身にしむ
思の、
大方、かうした
時の
事であらう。
可い
加減にしねえな。おい、
串戲ぢやねえ。お
前の
前だがね、
惡女の
深情つてのを
通越して
居るから、
鬼に
喰はれやしねえかツて、
皆友達が
案じて
居るんだ。
要心を
通越した
臆病な
処へ、
渇くのは
空腹にまさる
切なさで、
一つは
其がためにもつい
出億劫がるのが
癖で。
ね——
義兄さん、……お
可哀相は、
最う
疾くのむかし
通越して、あんな
綺麗な
方が
最うおなくなんなさるかと
思ふと、
真個に
可惜ものでならないんですもの。
何処までも
人を
凌いだ
仕打な
薬売は
流盻にかけて
故とらしう
私を
通越して、すた/\
前へ
出て、ぬつと
小山のやうな
路の
突先へ
蝙蝠傘を
差して
立つたが、
其まゝ
向ふへ
下りて
見えなくなる。