トップ
>
赭顔
>
あからがお
ふりがな文庫
“
赭顔
(
あからがお
)” の例文
旧字:
赭顏
父の筋向うに
坐
(
すわ
)
っていた
赭顔
(
あからがお
)
の客が、「全く
気込
(
きごみ
)
が似ているからですね」とさもむずかしい
謎
(
なぞ
)
でも解くように云った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
初め、
赭顔
(
あからがお
)
・
鬚面
(
ひげづら
)
のその
容貌
(
ようぼう
)
を醜いと感じた
俺
(
おれ
)
も、次の瞬間には、彼の内から
溢
(
あふ
)
れ出るものに圧倒されて、容貌のことなど、すっかり忘れてしまった。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
赭顔
(
あからがお
)
の快活らしい院長は、消毒衣の太った腹の前で、両手を
柳
(
やなぎ
)
の様に、シナシナと二三度振って見せて、ニコニコ笑いながら病室を出て行ってしまった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
室内にレコードを掛けて、柿丘と雪子とが相抱いて踊りはじめると、
赭顔
(
あからがお
)
の博士は、柿丘夫人呉子さんを
援
(
たす
)
けておこして、
鮮
(
あざや
)
かなステップを踏むのだった。
振動魔
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
もうどこからか聞込んだと見えて、
赭顔
(
あからがお
)
の人の好さそうな松永博士はそう云って主任へ椅子をすすめた。
三狂人
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
▼ もっと見る
拝領葵
(
はいりょうあおい
)
の御紋服に丸の扇の紋のついた裃を着て、腰は二つ折れに曲がり、
赭顔
(
あからがお
)
の
額部
(
ひたい
)
に皺が浪のように
畝
(
うね
)
って、頭髪は真っ白である。近藤相模守は七十七の老人だ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
丸い
赭顔
(
あからがお
)
で黒い
髯
(
ひげ
)
、職長の名にふさわしい一人の男が廊下の向こうから、三人のほうへ歩いてきた。
五階の窓:05 合作の五
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「僕に負けんくらい
巨大
(
おおき
)
な
赭顔
(
あからがお
)
の、
脂
(
あぶら
)
の乗り切った精力的な男だ。コイツも独身という話じゃが」
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すると、そこに立っていた、
赭顔
(
あからがお
)
の喰い肥った馭者が押し退けるような手真似をして、うしろのに乗れと言った。うしろのはその馬車にくらべると、馬も瘠せて小さかった。
遠野へ
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
銀色の
鬢髪
(
びんぱつ
)
が
微
(
かす
)
かに震えている、ひき結んだ唇にも、
皺
(
しわ
)
を畳んだ
赭顔
(
あからがお
)
にも、
火桶
(
ひおけ
)
の上にさし伸ばした拳の動きにも……老人の心を大きく
衝
(
う
)
った感動の色が歴然と刻まれていた。
柿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
馬の背には、
鎧櫃
(
よろいびつ
)
と
行李
(
こうり
)
とを
振分
(
ふりわけ
)
に附けている。そこからにこにこと
赭顔
(
あからがお
)
に笑みをたたえて来る白髪の老武士は、陣笠をかぶり、
手甲
(
てっこう
)
脚絆
(
きゃはん
)
のきびしい
旅扮装
(
たびいでたち
)
に体をつつんでいた。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
赭顔
(
あからがお
)
なのが白い歯を
剥
(
む
)
き出していうようです。はあ、そんな心持がしましたの。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「ええ、丸い
赭顔
(
あからがお
)
のようでした。年ごろもやっぱり旦那くらいのものでしょう」
五階の窓:03 合作の三
(新字新仮名)
/
森下雨村
(著)
酒
好
(
ずき
)
だということが
一寸
(
ちょっと
)
見ても知れる、太った
赭顔
(
あからがお
)
の男である。
独身
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
背が高く
口髭
(
くちひげ
)
を
蓄
(
たくわ
)
え、
膏
(
あぶら
)
ぎった
赭顔
(
あからがお
)
をしていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
客のうちで
赭顔
(
あからがお
)
の
恰腹
(
かっぷく
)
の好い男が
仕手
(
して
)
をやる事になって、その隣の貴族院議員が
脇
(
わき
)
、父は主人役で「娘」と「男」を
端役
(
はやく
)
だと云う訳か二つ引き受けた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
首領
(
かしら
)
だった銀髪
赭顔
(
あからがお
)
の老武士の腕に、ぐったりとなった弥生のからだが優しく抱かれていたのだった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
各〻両手をついて
寂
(
しん
)
としていると、悠々然と上座の
褥
(
しとね
)
へついて威風
四辺
(
あたり
)
を払った人物は、
赭顔
(
あからがお
)
の円頂に
兜巾
(
ときん
)
を頂き、
紫金襴
(
しきんらん
)
の
篠懸
(
すずかけ
)
に
白絖
(
しろぬめ
)
の大口を
穿
(
うが
)
って、銀造りの戒刀を横たえたまま
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私達がはいってくるのを見ると、例の
赭顔
(
あからがお
)
の紋付がにやにや笑いかけた。
遠野へ
(新字新仮名)
/
水野葉舟
(著)
いつも
赭顔
(
あからがお
)
をテラテラさせているという、怖るべき精力老人であった。
仲々死なぬ彼奴
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
赭顔
(
あからがお
)
は、でっぷりとした頬を張って
白金之絵図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
赭
漢検1級
部首:⾚
16画
顔
常用漢字
小2
部首:⾴
18画
“赭顔”で始まる語句
赭顔円目
赭顔疎髯
赭顔白髪
赭顔鶴髪