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賭物
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かけもの
ふりがな文庫
“
賭物
(
かけもの
)” の例文
近ごろ大流行の
茶寄合
(
ちゃよりあい
)
、つまり
闘茶
(
とうちゃ
)
、あれは茶の
銘
(
めい
)
を飲みわけて、
中
(
あた
)
った
外
(
はず
)
れたと、一夜に数千貫のかねやら
賭物
(
かけもの
)
をうごかす博奕だ。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前を通ろうとして、我にもあらず
立淀
(
たちよど
)
んだ。散策子は、
下衆儕
(
げしゅうばら
)
と
賭物
(
かけもの
)
して、鬼が出る
宇治橋
(
うじばし
)
の夕暮を、
唯
(
ただ
)
一騎
(
いっき
)
、東へ
打
(
う
)
たする
思
(
おもい
)
がした。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
たいそうにはしないで雅趣のある
檜破子
(
ひわりご
)
弁当が出て、勝ち方に出す
賭物
(
かけもの
)
も多く持参したのである。今日も文士が多く招待されていて皆席上で詩を作った。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
仮令
(
よし
)
それ等は実説にもしろ、人の痛いのなら百年も我慢すると云う昇が、
自家
(
じぶん
)
の利益を
賭物
(
かけもの
)
にして他人の為めに周旋しようと云う、まずそれからが呑込めぬ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そうではのうてあの狐めの
戯
(
たわむ
)
れ半分の
悪戯
(
からか
)
いから、殿の心をたぶらかし、この山吹を
賭物
(
かけもの
)
にして、もしこの山吹をわが君が、心に従わすことが出来たなら、あの狐めも殿の
御心
(
みこころ
)
に
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
ナマリ
節
(
ぶし
)
じゃかズウズウ武士じゃか存ぜぬが、まこと
武士
(
もののふ
)
ならば武士が表芸の弓修業に
賭物
(
かけもの
)
致すとは何ごとぞよ。その昔
剣聖
(
けんせい
)
上泉伊勢守
(
こうずみいせのかみ
)
も武人心得おくべき条々に遺訓して仰せじゃ。
旗本退屈男:07 第七話 仙台に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
七時半頃になつて街へ出たが、まだ
飾瓦斯
(
かざりがす
)
も
飾提灯
(
かざりぢやうちん
)
の
灯
(
ひ
)
もちらほらよりついて居ない。サン・ミツセルの
通
(
とほり
)
に並んだ露店が皆ぶん廻し風の
賭物
(
かけもの
)
遊びの店であるのに自分は少し
情
(
なさ
)
けない気がした。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
気懸
(
きがかり
)
なのはこればかり。
若干
(
いくら
)
か、お
銭
(
あし
)
にするだろう、と眼光
炬
(
きょ
)
のごとく、
賭物
(
かけもの
)
の天丼を照らした意気の
壮
(
さかん
)
なるに似ず、いいかけて早や物思う。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『はははは。無念などと……あははは、そんなに、無念がらなくてもよいわさ。何か、人と、
賭物
(
かけもの
)
でもかけたのか』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よい
賭物
(
かけもの
)
があっていいはずなんだがね、少しの負けぐらいでそれは渡せない。何だと思う、それを」
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
これかのお通の召使が、
未
(
いま
)
だ
何人
(
なんぴと
)
も知り得ざる蝦蟇法師の居所を探りて、
納涼台
(
すずみだい
)
が
賭物
(
かけもの
)
したる、若干の
金子
(
きんす
)
を得むと、お通の
制
(
とど
)
むるをも
肯
(
き
)
かずして、そこに追及したりしなり。
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「前門には虎、後門には狼。両賊は
朕
(
ちん
)
の身を
賭物
(
かけもの
)
として、
爪牙
(
そうが
)
を
研
(
と
)
ぎあっている。出ずるも修羅、止まるも地獄、朕はそもそも、いずこに身を置いていいのか」と、
慟哭
(
どうこく
)
された。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平生使わない
棚
(
たな
)
の本の中から珍しい詩集を
選
(
え
)
り出して来て、詩人たちを目だつようにはせずに、しかもおおぜい呼んで左右に人を分けて、よい
賭物
(
かけもの
)
を出して韻ふたぎに勝負をつけようとした。
源氏物語:10 榊
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
毎夕
納涼台
(
すずみだい
)
に集る
輩
(
やから
)
は、
喋々
(
ちょうちょう
)
しく蝦蟇法師の
噂
(
うわさ
)
をなして、何者にまれ乞食僧の昼間の住家を探り出だして、その来歴を
発出
(
みいだ
)
さむ者には、
賭物
(
かけもの
)
として
金
(
きん
)
一円を
抛
(
なげう
)
たむと言いあえりき
妖僧記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
賭物
(
かけもの
)
貢
(
みつぎ
)
ノ式」といふのが、春と秋に、宮中で行はれる。天皇の前で、負け組から勝組へ、罰として“
貢
(
みつぎ
)
”を贈る儀式である。あとは無禮講となり、敵味方、勝敗を忘れて、大らかに飮み遊ぶ。
折々の記
(旧字旧仮名)
/
吉川英治
(著)
われら附添って
眷属
(
けんぞく
)
ども一同守護をいたすに、元来、
人足
(
ひとあし
)
の絶えた空屋を求めて
便
(
たよ
)
った処を、
唯今
(
ただいま
)
眠りおる少年の、身にも命にも替うる
願
(
ねがい
)
あって、身命を
賭物
(
かけもの
)
にして、推して
草叢
(
くさむら
)
に
足痕
(
あしあと
)
を留めた以来
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
賭
常用漢字
中学
部首:⾙
16画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“賭物”で始まる語句
賭物貢