“かけもの”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
懸物31.1%
掛物31.1%
賭物23.0%
軸物4.9%
賭博3.3%
幅物1.6%
懸賞1.6%
懸軸1.6%
1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それから、せんだっての金をこの者に渡してくれろという手紙を書いて、それに猿の懸物かけものを添えて、長塚に持たせてやった。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのすすけた天照大神あまてらすおおみかみと書いた掛物かけものとこの前には小さなランプがついて二まい木綿もめん座布団ざぶとんがさびしくいてあった。
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
前を通ろうとして、我にもあらず立淀たちよどんだ。散策子は、下衆儕げしゅうばら賭物かけものして、鬼が出る宇治橋うじばしの夕暮を、ただ一騎いっき、東へたするおもいがした。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……ところで、わしが以前、済州さいしゅうの城内で少しばかり世話してやった書生がある。その蕭譲しょうじょうという者じつに偽筆ぎひつの名人なのだ。どんな碑文ひもんだろうが軸物かけものだろうが、ひと目見たら忘れない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「でろでろ祭文さいもん」や「居合抜き」「どっこいどっこい」の賭博かけもの屋から「銅の小判」というような、いかもの屋までも並んでいる。そういう間に介在かいざいして、飲食店ができている。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
翌日は弥勒みろくに出かけて、人夫を頼んで、書籍寝具などを運んで来た。二階の六畳を書斎にきめて、机は北向きに、書箱ほんばこは壁につけて並べておいて、三尺の床は古い幅物かけものをかけた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「大勢さま。ありがとうございます。ですがたぶん、山のような懸賞かけもの褒美ほうびは、こちらの物になるでしょう。そしたら皆さんにも、晩には、おすそ分けをいたしましょうかね」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
懸軸かけものも、花瓶かびんも、書架も、すべての調度は取片づけられて、そこもがらんとしていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「助かったら何よ、おいらがやしきへ来ねえ、一所に楽をしようぜ、面白く暮そうな。」と、あたかも死をかけものにしたこの難境は、将来のそのたのしみのために造られた階梯かいていであるように考えるらしく
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)