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變色
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へんしよく
互を
焚き
焦がした
燄は、
自然と
變色して
黒くなつてゐた。
二人の
生活は
斯樣にして
暗い
中に
沈んでゐた。
勘次は
赤く
燒けた
土を
草鞋の
底で
段々に
掻つ
拂かうとした
時、
黒く
焦げたやうな
或物が
草鞋の
先に
掛つた。
燒けて
變色した
銅貨の
少し
凝つたやうになつたのが
足に
觸れてぞろりと
離れた。
後の
林の
稍俛首れた
竹の
外側がぐるりと
燒かれて
變色して
居たのが
彼の
目に
映じた。それと
共に
彼は
隣の
森の
中の
群集の
囂々と
騷ぐのを
耳にして
自分が
今何の
爲に
疾走して
來たかを
心づいた。