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あんしょう
ふりがな文庫
“
諳誦
(
あんしょう
)” の例文
まえにも何回となく言って言い馴れているような
諳誦
(
あんしょう
)
口調であって、文章にすればいくらか熱のある言葉のようにもみえるが実際は
ダス・ゲマイネ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そして空気のしめりの
丁度
(
ちょうど
)
いい日またむずかしい
諳誦
(
あんしょう
)
でひどくつかれた
次
(
つぎ
)
の日などはよくアラムハラドはみんなをつれて山へ行きました。
学者アラムハラドの見た着物
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
今日
(
きょう
)
も、ローズ・ブノワさんは
読方
(
よみかた
)
で
習
(
なら
)
ったところをちっとも
間違
(
まちが
)
えずに
諳誦
(
あんしょう
)
しました。それで、いいお
点
(
てん
)
をいただきました。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
そこで僧尼の資格として浄行三年、法華経
諳誦
(
あんしょう
)
というごときことが課せられるに至った。これはいわば各人の宗教的要求を制限することである。
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
彼女は
急
(
せ
)
き込んでる小娘のように、ごく早くやたらに読み散らしながら、
爪
(
つめ
)
の先で書き抜きをたどっていた。彼は
諳誦
(
あんしょう
)
の手伝いをしてやろうと言い出した。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
遠い昔の芭蕉や
其角
(
きかく
)
の句は
諳誦
(
あんしょう
)
していても毎日食べる玉子はどれが新しいか古いか知らんような
迂闊
(
うかつ
)
な心掛ではどうしてこの文明世界へ進む事が出来よう。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
水戸の学問と言えば、少年時代からの彼が心をひかれたものであり、あの藤田東湖の『
正気
(
せいき
)
の歌』なぞを好んで
諳誦
(
あんしょう
)
したころの心は今だに忘れられずにある。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
わたしが幼少の時読み馴れた「
子曰詩云
(
しのたまわくしにいう
)
」のように、今その半句すらも
諳誦
(
あんしょう
)
し得ないが、たった一つこの小さな事件だけは、いつもいつもわたしの眼の前に浮んで
些細な事件
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
岡田は
虞初新誌
(
ぐしょしんし
)
が好きで、中にも
大鉄椎伝
(
だいてっついでん
)
は全文を
諳誦
(
あんしょう
)
することが出来る程であった。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そして、何か
諳誦
(
あんしょう
)
でもするような口調で、次のような口上を述べるのでありました。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
またかの鉄道唱歌とか、地理の
諳誦
(
あんしょう
)
のためにされた新体詩とか、道徳や処世の教訓にされる和歌の類とかも、同様に形式上のみの韻文であって、実質上から詩というべく適切でない。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
百人一首もとびとびに
諳誦
(
あんしょう
)
して、恋歌などを無意味なかわいい声で歌って聞かせた。清三は一から十六までの数を加減して試みてみたが、たいていはまちがいなくすらすらと答えた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「私がまだ若い時分でしたが、あれが来るたびに長良の話をして聞かせてやりました。うただけはなかなか覚えなかったのですが、何遍も
聴
(
き
)
くうちに、とうとう何もかも
諳誦
(
あんしょう
)
してしまいました」
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしそう云う
微妙音
(
びみょうおん
)
はアメリカ文明の渡来と共に、永久に
穢土
(
えど
)
をあとにしてしまった。今も四人の
所化
(
しょけ
)
は勿論、
近眼鏡
(
きんがんきょう
)
をかけた住職は国定教科書を
諳誦
(
あんしょう
)
するように
提婆品
(
だいばぼん
)
か何かを読み上げている。
文章
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私が問うのに答えてな、あの宮浜はかねて記憶の
可
(
い
)
い処を、母のない
児
(
こ
)
だ。——優しい人の言う事は、よくよく身に染みて覚えたと見えて、まるで口移しに
諳誦
(
あんしょう
)
をするようにここで私に告げたんだ。
朱日記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家人、右の手のひらをひくい鼻の先に立てて片手拝みして、もうわかった。いつも同じ教材ゆえ、たいてい
諳誦
(
あんしょう
)
して居ります。
創生記
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
高遠
(
たかとお
)
藩の方に聞こえた坂本家から来た人だけに、相応な教養もあって、取って八つになる孫娘のお
粂
(
くめ
)
に
古今集
(
こきんしゅう
)
の中の歌なぞを
諳誦
(
あんしょう
)
させているのも、このおまんだ。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
みんなは毎日その石で
畳
(
たた
)
んだ
鼠
(
ねずみ
)
いろの
床
(
ゆか
)
に
座
(
すわ
)
って古くからの
聖歌
(
せいか
)
を
諳誦
(
あんしょう
)
したり
兆
(
ちょう
)
よりももっと大きな数まで数えたりまた数を
互
(
たがい
)
に加えたり
掛
(
か
)
け合せたりするのでした。
学者アラムハラドの見た着物
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
また澄み切った楽しい心の
舞踏歌
(
タンツリード
)
たる星のロンド、——またクリストフが朝の
祈祷
(
きとう
)
のように
諳誦
(
あんしょう
)
していた自身へという悲壮な落ち着いた
短詩
(
ソンネット
)
、などを取って来たのであった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あなたの小説を、にっぽん一だと申して、幾度となく繰り返し繰り返し拝読して居る様子で、貴作、ロマネスクは、すでに
諳誦
(
あんしょう
)
できる程度に修行したとか申して居たのに。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
時には『古今集』の序を
諳誦
(
あんしょう
)
させたり、『源氏物語』を読ませたりして、
筬
(
おさ
)
を持つことや
庖丁
(
ほうちょう
)
を持つことを教えるお民とは別の意味で孫娘を導いて来たのもまたおまんだ。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
それが彼の
畢生
(
ひっせい
)
の大事業であった。あたかもフランスの地方の中流人らが、オルレアンの少女の歌をすっかり
諳誦
(
あんしょう
)
するように、彼はその辞典の綱目をことごとく諳誦し得たかもしれない。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あの『
勧学篇
(
かんがくへん
)
』などを子供に書いてくれて、和助が七つ八つのころから
諳誦
(
あんしょう
)
させたのも、その半蔵だ。学芸の思慕は彼の天性に近かった。それはまた親譲りと言ってもよかった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼女は覚えてることをみな
諳誦
(
あんしょう
)
してみせた。彼はびっくりして言った。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
『
常陸帯
(
ひたちおび
)
』を書き『
回天詩史
(
かいてんしし
)
』を書いた藤田東湖はこの水戸をささえる主要な人物の
一人
(
ひとり
)
として、少年時代の半蔵の目にも映じたのである。あの『
正気
(
せいき
)
の歌』なぞを
諳誦
(
あんしょう
)
した時の心は変わらずにある。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
歴代の年号なぞを
諳誦
(
あんしょう
)
させながらたたかせた。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“諳誦”の意味
《名詞》
諳誦(あんしょう)
「暗唱」の異綴。
(出典:Wiktionary)
諳
漢検1級
部首:⾔
16画
誦
漢検1級
部首:⾔
14画
“諳”で始まる語句
諳
諳記
諳錬
諳然
諳算
諳譜
諳厄利亜