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みさかい
ふりがな文庫
“
見境
(
みさかい
)” の例文
根が悪徒ではござりませぬ、取締りのない、ただぼうと、
一夜酒
(
ひとよざけ
)
が沸いたような
奴
(
やっこ
)
殿じゃ。
薄
(
すすき
)
も、
蘆
(
あし
)
も、
女郎花
(
おみなえし
)
も、
見境
(
みさかい
)
はござりませぬ。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
やれやれ、こんなお馬鹿さんには全く
降参
(
こうさん
)
だよ。他人に言っていいこととわるいこととの
見境
(
みさかい
)
がちっともつかないんだからなあ。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「そそっかしい鼠だね。船の中に住んでると、そう
見境
(
みさかい
)
がなくなるものかな」と主人は誰にも分らん事を云って依然として鰹節を
眺
(
なが
)
めている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もしスパセニアがいなくて、ジーナとただ二人だったならば、おそらく私は前後の
見境
(
みさかい
)
もなく、ジーナをネジ伏せてその場に思いを遂げてしまったでしょう。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
益々
(
ますます
)
嵩
(
こう
)
じて来た病的な空想に耽り、昼と夜との
見境
(
みさかい
)
のない生活を続けていたものである。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
犬だって
見境
(
みさかい
)
があらア、
平常
(
ふだん
)
乱暴なことをするから、お前の顔を見ると
唸
(
うな
)
るじゃないか。——あの通りだよ、
三
(
み
)
つ
股
(
また
)
の
兄哥
(
あにき
)
。目白までつれて行ったところで、大した役には立つまい
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すっぱりと手を切るから、
手切金
(
てぎれきん
)
の五十両、なんとか
工面
(
くめん
)
をしてくれと千賀春にいわれ、のぼせ上って前後の
見境
(
みさかい
)
もなく
親爺
(
おやじ
)
の
懸硯
(
かけすずり
)
から盗みだして渡したが、手を切るとは真赤な嘘。
顎十郎捕物帳:06 三人目
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「親父は
何
(
ど
)
うも公明正大過ぎて困るよ。店のことになると他人も身内も
見境
(
みさかい
)
がない」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
食らやがって、人の
見境
(
みさかい
)
なく喧嘩でも吹ッかけやがったに違いねえ。ざまア見やがれ、といってやるところだが、悪い奴でも、こんな
深傷
(
ふかで
)
を負っちゃ可哀そうだ。オオ、番屋の戸板を外してきねえ
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一郎は前後の
見境
(
みさかい
)
もなく、石垣の横手から
匍
(
は
)
いこんだ。そこには大きな
蕗
(
ふき
)
の葉が
生
(
は
)
え
繁
(
しげ
)
っていたが、彼が猛然とその葉の中に躍りこんだとき、思いがけなくグニャリと気味のわるいものを踏みつけた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それとも片はずしというようなことかと、
委
(
くわ
)
しく聞いてみたでございますが、当人その辺はまるで
見境
(
みさかい
)
がございません。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ
見境
(
みさかい
)
なく
走
(
か
)
けさえすれば車夫の
能事畢
(
のうじおわ
)
ると心得ている点に至っては、全く朝鮮流である。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「懇意になるほど無遠慮なことを言うから始末が悪いよ。相手と場合の
見境
(
みさかい
)
がない」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
前後の
見境
(
みさかい
)
なく、女房はその女客を片腕で制して押し戻した。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
獣を殺しますに、兄弟の、身代りの
見境
(
みさかい
)
があるかいの。
魚
(
うお
)
も虫も
同様
(
おなじ
)
での。親があるやら、一粒種やら、可愛いの、いとしいの、分隔てをめされますかの。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それがある事情のため断然英国を後にして単身日本へ来る気になられたので、
余
(
よ
)
らの教授を受ける頃は、まだ日本化しない純然たる
蘇国語
(
スコットランドご
)
を使って講義やら説明やら談話やらを
見境
(
みさかい
)
なく
遣
(
や
)
られた。
博士問題とマードック先生と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
些
(
ち
)
っと怪しいか? ガヷナーは他人も身内も
見境
(
みさかい
)
がないからね」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
現
(
うつつ
)
と幻との
見境
(
みさかい
)
さえ附きかねた。その上、寒気はする、
頭
(
かしら
)
は重し、いや、
耐
(
たま
)
らぬほど体が
怠
(
だる
)
い。夜が明けたら、主人の一診を煩わそうまでは心着いたが、
先刻
(
さっき
)
より、今は起直る力がない。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼に色を見ないせいか、外の
暴風雨
(
あらし
)
は今までよりは余計耳についた。雨は風に散らされるのでそれほど恐ろしい音も伝えなかったが、風は屋根も
塀
(
へい
)
も電柱も、
見境
(
みさかい
)
なく吹き
捲
(
めく
)
って悲鳴を上げさせた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
境
常用漢字
小5
部首:⼟
14画
“見”で始まる語句
見
見惚
見物
見出
見下
見上
見送
見透
見做
見当