若竹わかたけ)” の例文
「大阪のことでござった。声のいい、浄瑠璃じょうるり語りのおなごがありました。若竹わかたけといってな、人はみな、竹女たけめと呼んだ」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
それは、若竹わかたけが、あちこちのそらに、かぼそく、ういういしい緑色みどりいろをのばしている初夏しょかのひるで、松林まつばやしでは松蝉まつぜみが、ジイジイジイイといていました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
かれは、ひとごとをしながら、注意深ちゅういぶかく、ほそたけ小刀こがたなあなをあけていたのです。しかし、若竹わかたけやわらかくて、うまくおもうようにいかなかったのです。にわのすみに、寒竹かんちくえていました。
へちまの水 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若竹わかたけのあさきみどりに山ざくら淡淡あはあはと咲きててるかも
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
夏の夜の「若竹わかたけ」の銀襖ぎんぶすまのごとく青白き瓦斯がすに光る。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
くしじようさまにもぞおよろこ我身わがみとても其通そのとほりなり御返事おへんじ屹度きつとまちますとえば點頭うなづきながら立出たちいづまはゑんのきばのたちばなそでにかをりて何時いつしつき中垣なかがきのほとりふきのぼる若竹わかたけ葉風はかぜさら/\としてはつほとゝぎすまつべきなりとやを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
細い緑の若竹わかたけのやうに。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)