胴腹どうばら)” の例文
村人は総出になったが、火はふくれ拡がり、深く野の胴腹どうばらえぐって山麓の方に、怒濤どとう状の起伏を音響のある火風になって押し寄せて行った。
野に臥す者 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
運さえ悪くなければ、そのとき誰かがうかがいよって、その敵の胴腹どうばら銃弾たまをうちこんでくれるかも知れないのであるから……。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とうっかり向うを向いて便をそうとする処をシュウと抜討ちに胴腹どうばらを掛けて斬り、又咽元のどもとを斬りましたから首が半分落るばかりになったのを
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
をつとかたきおぼえたかといひさま彼の懷劍くわいけん胴腹どうばら突込つきこみしかばへい四郎はアツトこゑたて仰向のつけたふれ七てんたうなすゆゑ隣の座敷ざしきは源八歌浦うたうらなれば此聲このこゑおどろ馳來はせきたるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
といって、れいつよゆみながをつがえて、まっさきすすんだ大きなふね胴腹どうばらをめがけて射込いこみました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
工事中こうじちう土瓦つちかはらのもりあがつた海邊橋うみべばしを、小山こやまごと電車でんしやは、なだれをきふに、胴腹どうばら欄干らんかんに、ほとん横倒よこだふしにかたむいて、橋詰はしづめみぎつたわたしたちの横面よこつらをはねばしさうに、ぐわんととき
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それからそれをくるくると捲いて帯のように胴腹どうばらに縛りつけた。
半眼はんがんにして辿たどりゆくその胴腹どうばらの波だちに
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
半眼はんがんにして辿たどりゆくその胴腹どうばらの波だちに
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)