美音びおん)” の例文
天女てんによ御空みそらふがごと美音びおんは、こゝろなき壇上だんじやうはなさへさへゆるぐばかりで、滿塲まんじやうはあつとつたまゝみづつたやうしづまりかへつた。
せばらく片折戸かたをりど香月かうづきそのと女名をんなヽまへの表札ひようさつかけて折々をり/\もるヽことのしのび軒端のきばうめうぐひすはづかしき美音びおんをばはる月夜つきよのおぼろげにくばかり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なが素人連中しろうとれんぢうにも上手じやうずの人々は我も/\とこゑ自慢じまんもあれば又ふし自慢じまんもあり最もにぎはふ其が中に今宵城富は國姓爺合戰こくせんやかつせんしぎはまぐりだんを語りけるに生得しやうとく美音びおんの事なれば座中ざちうなり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ことに、あの朗々ろうろうたる美音びおんで、がらにもなくシューベルトの子守歌を一とくさり歌ってきかせたときなどは、満場まんじょう大喝采だいかっさいであった。だが、その温厚な大使も、僕にとっては、敵国人に違いはなかった。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
をんならしう温順おとなしうつたとめるもあれば折角せつかく面白おもしろたねなしにしたとそしるもあり、表町おもてまちにはかえしやうさびしくりて正太しようた美音びおんことまれに、たゞな/\の弓張提燈ゆみはりでうちん
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)