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絨氈
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じうたん
フト
夫人は
椅子を
立つたが、
前に
挾んだ
伊達卷の
端をキウと
緊めた。
絨氈を
運ぶ
上靴は、
雪に
南天の
實の
赤きを
行く……
日本の十畳敷
許りの所に赤い
絨氈を敷き詰めて、
淡紅い羽蒲団の掛つた二人寝の大きな
寝台を据ゑ、幾つかの額と二つの大きな鏡の懸つた
可なり立派な部屋だが
細長く
南北に延びた
床の
上は、画家らしく、取り乱れてゐる。先づ一部分には
絨氈が敷いてある。
ト
半靴の
先を
反らした、
母親の
白い
足が
卓子掛と
絨氈の
間で
動いた。
窓の
外は
雪が
其の
光を
撫でゝ、さら/\
音が
為さうに、
月が
有つて、
植込の
梢がちら/\
黒い。