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紅絹裏
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もみうら
ふりがな文庫
“
紅絹裏
(
もみうら
)” の例文
三味線棹
(
しゃみせんざお
)
が、壁に、鼻の下の長い自分を
嘲
(
わら
)
っているように
嫌
(
いや
)
に長く見える。
衣桁
(
いこう
)
に脱ぎすててあるふだん着の
紅絹裏
(
もみうら
)
を見ても
焦々
(
いらいら
)
する。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女夫枕
(
めをとまくら
)
に靜かに横たはつた花嫁の死骸は、
紅絹裏
(
もみうら
)
の夜の物をはね退け、
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
の
長襦袢
(
ながじゆばん
)
のまゝ、血汐の中に
浸
(
ひた
)
つてゐるのです。
銭形平次捕物控:287 血塗られた祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
満枝はさすが
過
(
あやまち
)
を悔いたる
風情
(
ふぜい
)
にて、やをら左の
袂
(
たもと
)
を
膝
(
ひざ
)
に
掻載
(
かきの
)
せ、
牡丹
(
ぼたん
)
の
莟
(
つぼみ
)
の如く
揃
(
そろ
)
へる
紅絹裏
(
もみうら
)
の
振
(
ふり
)
を
弄
(
まさぐ
)
りつつ、彼の
咎
(
とがめ
)
を
懼
(
おそ
)
るる
目遣
(
めづかひ
)
してゐたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
如何
(
いか
)
にも妻が云った通り、座敷の真中に、女物に仕立てられた大島の羽織と着物とが、拡げられて居た。裏を返して見ると、
紅絹裏
(
もみうら
)
の色が彼の眼に、痛々しく映った。
大島が出来る話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
紅絹裏
(
もみうら
)
を付けたその着物の表には、桜だか梅だかが一面に染め出されて、ところどころに金糸や銀糸の
刺繍
(
ぬい
)
も
交
(
まじ
)
っていた。これは恐らく当時の
裲襠
(
かいどり
)
とかいうものなのだろう。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
島が屋敷奉公に出る時、
穉
(
おさな
)
なじみのお七が七寸四方ばかりの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
のふくさに、
紅絹裏
(
もみうら
)
を附けて縫ってくれた。間もなく本郷
森川宿
(
もりかわじゅく
)
のお七の家は
天和
(
てんな
)
二年十二月二十八日の火事に類焼した。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
夕日
斜
(
なゝめ
)
に差し入る狭き
厨房
(
くりや
)
、今正に
晩餐
(
ばんさん
)
の準備最中なるらん、
冶郎蕩児
(
やらうたうじ
)
の
魂魄
(
たましひ
)
をさへ
繋
(
つな
)
ぎ留めたる
緑
(
みどり
)
滴
(
したゝ
)
らんばかりなる
丈
(
たけ
)
なす黒髪、グル/\と引ツつめたる
無雑作
(
むざふさ
)
の
櫛巻
(
くしまき
)
、
紅絹裏
(
もみうら
)
の長き袂
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
それからチュッチュッと鳴る
紅絹裏
(
もみうら
)
の袂、———私の肉体は、凡べて普通の女の皮膚が味わうと同等の触感を与えられ、襟足から
手頸
(
てくび
)
まで白く塗って、
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しの
鬘
(
かつら
)
の上にお
高祖頭巾
(
こそずきん
)
を
冠
(
かぶ
)
り
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
然れども、時に之等に伍して、
紅絹裏
(
もみうら
)
などのついたる晴やかの女着の衣裳の懸けらるゝ事なきにあらず。
恰
(
あたか
)
も
現世
(
このよ
)
の人の路を踏み誤つて陰府に迷ひ入れるが如し。かゝる時の亡霊共の迷惑思ひやらる。
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
おもよどんが、
紅絹裏
(
もみうら
)
の
糸織
(
いとおり
)
のどてらを長く上にかけた。
旧聞日本橋:19 明治座今昔
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ここに
起臥
(
おきふし
)
する無法者の
乾児
(
こぶん
)
が、手拭だの、着替えだの、火事頭巾だの、
襦袢
(
じゅばん
)
だのを雑多に釘へ掛けつらね、中には、誰も
着手
(
きて
)
のいるわけがない、
紅絹裏
(
もみうら
)
のあでやかな女小袖なども掛け
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紅絹裏
(
もみうら
)
のたもとから、ソッと、小さく
袱紗
(
ふくさ
)
に包んだ品を膝の上へ移しかける。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紅
常用漢字
小6
部首:⽷
9画
絹
常用漢字
小6
部首:⽷
13画
裏
常用漢字
小6
部首:⾐
13画
“紅絹”で始まる語句
紅絹
紅絹切