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笠置
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かさぎ
ふりがな文庫
“
笠置
(
かさぎ
)” の例文
ここ
笠置
(
かさぎ
)
の城は、どっちを向いても山ばかりな一
孤峰
(
こほう
)
だが、世間の騒ぎや
沸
(
わ
)
き
返
(
かえ
)
ッている人心は手にとるように聞えてくる。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恰
(
ちやう
)
ど春さきの、梅もちらほら咲きかけようといふ頃で、内田氏は自分の学生を十幾人か引連れて、
笠置
(
かさぎ
)
辺の史蹟の踏査に出かけた途中であつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
眼を遮るは
濃青
(
のうせい
)
の脈々たる岩壁である。その下の
鞍掛
(
くらかけ
)
岩。その左は
展
(
ひら
)
けた下流の空の
笠置
(
かさぎ
)
山。雲だ、雲だ、雲だ。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
大君の
辺
(
へ
)
にこそ、とは日本のひと全部の、ひそかな祈願の筈である。さして行く
笠置
(
かさぎ
)
の山、と
仰
(
おお
)
せられては、藤原季房ならずとも、泣き伏すにきまっている。
一灯
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
笠置
(
かさぎ
)
の城の落ちるのも、ここ数日のうちであろう。と、神の
界
(
くに
)
に属しまつる
御一方
(
おんひとかた
)
が、この赤坂へおいで遊ばす筈だ。……それまでどこにいようとままよ」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
笠置
(
かさぎ
)
の山の
行宮
(
かりみや
)
の御夢に、二人の童子が現われて
楠
(
くす
)
の
樹
(
き
)
の下を指ざし、
爰
(
ここ
)
ばかりがせめて安らかなる御座所と、御告げ申したという記事に接するごとに、いつも子ども心には
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そう思って、大河原駅からまた
笠置
(
かさぎ
)
、加茂と三つ手前の駅まで引き返して戻った。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
おそらくは途中で、敵兵に
阻
(
はば
)
まれたせいか何かであろう。一時、洛外の醍醐寺辺にかくれ、やがて日を経てから、
笠置
(
かさぎ
)
の山へたどりついている。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
佐々良路
(
ささらじ
)
の先頭を承わって来た、金沢武蔵
右馬助
(
うまのすけ
)
が、
千葉介貞胤
(
ちばのすけさだたね
)
を相手とし、
神崎
(
かんざき
)
の遊君人丸や、同じく遊君中将を前に、無骨者だけに
笠置
(
かさぎ
)
ぜめの、手柄話を話していた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
むかし
笠置
(
かさぎ
)
の
解脱
(
げだつ
)
上人が、
栂尾
(
とがのを
)
の
明恵
(
みやうゑ
)
上人を訪ねた事があつた。その折明恵は
質素
(
じみ
)
な
緇衣
(
しえ
)
の下に、
婦人
(
をんな
)
の着さうな、
緋
(
ひ
)
の勝つた派手な下着を
被
(
き
)
てゐるので、解脱はそれが気になつて溜らなかつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
去年の
笠置
(
かさぎ
)
、赤坂の合戦へは、この伊賀からも、たくさんな参加者があったし、以後も宮方と鎌倉方とが、
暗黙裡
(
あんもくり
)
に、ねめあっている現状なのだ。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
隆貞は宮家と終始一貫、
笠置
(
かさぎ
)
の城へも籠もったのであり、赤坂の城へも籠もったのであるが、熊野落ちの際ひき別れ、一人京の地へ潜人し、この時まで様子を探っていたのであった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
笠置
(
かさぎ
)
一味の捕虜は、後醍醐帝を流す前に、あらまし処分にふしていたのだが、なお、いろんな事情や嘆願の運動やらで、
猶予
(
ゆうよ
)
されていた者もある。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「三年前に、上人からお
暇
(
いとま
)
を賜わって、
笠置
(
かさぎ
)
の
田舎
(
いなか
)
へかくれ込んだ心蓮です。——あなたとも半年ほど、吉水で共に暮したことのあるあの心蓮です」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
渓河
(
たにがわ
)
沿いの道を離れ、低い山の背や尾根をめぐって——
笠置
(
かさぎ
)
街道とよんでいる細道を果てなく駈けて行くのだった。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……正成にとり、宮は
笠置
(
かさぎ
)
いらい、苦憂も末の愉しみも共にしてきた無二の御知己。それをついに
弑逆
(
しいぎゃく
)
し奉った足利兄弟は、とりも直さず正成のあだ。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
したがこの良忠は、
笠置
(
かさぎ
)
、赤坂、千早など、多年にわたって見てまいりましたゆえ、さような人物とは疑いませぬ。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「度を失わずにいられましょうか。天下は真二ツに割れ、おそれおおくも、時のみかどは、わずかな手兵を召されたのみで、
笠置
(
かさぎ
)
にお
籠
(
こも
)
りと聞えますのに」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なにほどのお力にもなりますまいが、ひきつれてまいった一千は、みかどの
御楯
(
みたて
)
となって死ぬぶんには悔いを持たぬ、
笠置
(
かさぎ
)
、千早いらいのつわものばかりです。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
家系、職掌、人となりにも、不明が多く、彼のはっきりした姿は、
笠置
(
かさぎ
)
に召されてから、湊川の合戦で、尊氏の軍に当って死ぬまでの、六年間に見られるのみだ。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
で、新春からは、
笠置
(
かさぎ
)
籠城の天皇軍へ召された楠木正成が初めて宮方となって起つ辺から筆をとるつもりである。中年以上の人なら、ここらは覚えておられよう。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
笠置
(
かさぎ
)
落ちや赤坂城の
殺伐
(
さつばつ
)
な筆に飽いたので、「群雀帖」の初めに、兼好法師の小僕の命松丸と雀のことなど書いたら、それから妙に私は雀が目につき出してきた。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もしこの重い
業
(
ごう
)
をのがれたいのであったら、そもそもは、
元弘
(
げんこう
)
の初め、
笠置
(
かさぎ
)
からの天皇のお招きをお断りすればよかったのである。しかるにすすんで勅を
畏
(
かしこ
)
んだ。
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
君もまたついには、武家の
膺懲
(
ようちょう
)
を
思
(
おぼ
)
し立たれ、
笠置
(
かさぎ
)
に
籠
(
こも
)
り、隠岐ノ島に配所の月を見るなど、おん身に馴れぬ
矢石
(
しせき
)
の御苦難をなされるようなことにもなってまいりまする
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兄の範頼を瀬田にのこし、彼の軍は、伊賀路から
笠置
(
かさぎ
)
を経て、宇治に
屯
(
たむろ
)
し、きょう正月の二十日、いよいよ渡河を決意して、この富家の渡しまで押出して来たのである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ずっと、都遠く離れて、
笠置
(
かさぎ
)
の山里のさる豪家の持っている山の中に、一庵を借りておりました。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
奈良の興福寺の衆徒と、その衆徒が、当代の生き仏と仰いでいる、
笠置
(
かさぎ
)
の
解脱上人
(
げだつしょうにん
)
とであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初めて
笠置
(
かさぎ
)
に召されたとき、「
恃
(
たの
)
みにおもうぞ」とまで仰せられた御信頼にたいして、いささかは、おむくいを成しえたかと思い、ふと胸のどこかでホロとしたものらしかった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
かの
笠置
(
かさぎ
)
の戦雲いらい、御領下の民情は申すにおよばず、失礼ながら、正成どのと申すお方の人となりや御一族の内状までを、つぶさに探ッては主君の許へ密報していたことにもよりまする。
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いちがいに打算とのみは言いきれん。
笠置
(
かさぎ
)
落城後、あまたな公卿は斬られ、みかどは六波羅ノ獄に
囚
(
とら
)
われ給うなどの日においてさえ、彼は北条の目をぬすんでまで、みかどにお尽し申しあげた」
私本太平記:10 風花帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おととし、
笠置
(
かさぎ
)
のあといらい。宮のありかは、熊野、伊勢、十津川の奥、
高野
(
こうや
)
の上、さまざまに沙汰されていたが、去年の夏ごろから、吉野築城の事実が関東方にも、やっと、はっきりつかめていた。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
くりかえして「——
笠置
(
かさぎ
)
いらいの功臣、千早金剛でもあれほど働いた正成どのが、兵庫合戦では後陣へ廻され、またこんどもそうだとあっては、さだめし不平も大きかろうな。何か領内の不穏は聞かないか」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
笠置
(
かさぎ
)
いらいか」
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
笠
漢検準1級
部首:⽵
11画
置
常用漢字
小4
部首:⽹
13画
“笠置”で始まる語句
笠置山
笠置落
笠置寺
笠置路
笠置出仕
笠置参向
笠置潜幸
笠置籠城