竣工しゅんこう)” の例文
「また、山淵右近が、おぬし達にくれるといった金は、何ほどか知らんが、それも竣工しゅんこうの後は、藤吉郎が身にかなう程の褒美はいたすぞ」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
シナノ? すると、あの六万何千トンかあったやつかね。太平洋戦争中に竣工しゅんこうして、館山たてやまを出て東京湾口わんこうから外に出たと思ったら、すぐ魚雷ぎょらい攻撃を
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
葛西橋の欄干には昭和三年一月竣工しゅんこうとしてある。もしこれより以前に橋がなかったとすれば、両岸の風景は今日よりも更に一層寂寥せきりょうであったに相違ない。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「是非拝見したいものです。真先にとは実に光栄の至りです。で、それはいつ頃御竣工しゅんこうの予定ですか」
白髪鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
丁度向い側に、殆ど竣工しゅんこうの成った政務長官官邸がそびえ、王は日毎に此の建物を仰いでおらねばならぬ。彼は白人官吏への気兼から、我々に会うことを余り望まぬようだ。乏しい会談。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
かろうじてこれを竣工しゅんこうすることができたとの伝説も残っていると言ってある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
塗師ぬしかざり職人、磨師みがきし石工いしくなども二十五人一組の定めであった。むろん一同は山へ上がったが最後、かしらだったものは町小屋、諸職人は下小屋したこやに寝とまりして、竣工しゅんこうまで下山を許さないのです。
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あまつさえ人夫らのうちに、寒気と風雨とに恐れ、ために物議を生じて、四面朦朧もうろう咫尺しせきべんぜざるに乗じて、何時いつにか下山せしものありたるため、翌日落成すべき建築もなお竣工しゅんこうぐるあたわざるとう
同校の正門内に卒業生の寄付に係る作法実習用の茶室が竣工しゅんこうしたため、自然不要に帰し、火災直前までは物置として保存されおり、階上階下には運動会用具その他、古黒板こくばん、古洋燈ランプ、空瓶、古バケツ
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
徳島へついてみると、城下はすばらしく景気だっていた、出丸廓でまるぐるわ竣工しゅんこうと、おびただしい買上げもので黄金こがねが町へ降っている。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鎌倉方の湯浅定仏は、赤坂の焼け城を修築して、そのあとに入り、それもほぼ竣工しゅんこうしたので、先ごろらい、しきりに兵糧を運び入れていた。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜は、朝山日乗あさやまにちじょう、島田弥右衛門など、禁裡きんりの造営に当っている奉行たちを呼びよせ、その竣工しゅんこうの模様を聞きとって
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大坂城はすでに竣工しゅんこうした。京都の治民組織もまずできたところである。この新版図しんはんと、この新勢力の府へ、おめおめかれらの馬や旗をまつものではない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この分では、案外、棟上げもまたたくうちだの。すくなくも、竣工しゅんこうには二、三年はかかろうというていたが」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
何しても、大坂新城の竣工しゅんこうと、茶々の君のめっきり人目立ってきたこととが、何か、時を同じゅうして、羽柴家の家運の季節を象徴しているようでもあった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
安土あづちの秋は、去年の秋とは、まったく景観を一変していた。すでに天守も竣工しゅんこうし、八楼十門をめぐる城下町も、新しき文化の大都府たるよそおいをほぼ完成しかけていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七日と日限した大倉郷の居館は、一日早く竣工しゅんこうして、その月十五日には、政子も頼朝も初めて——実に、頼朝にとっても二十年来初めての「わが家」に移り住んだ。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
覚誉法師は衆の公共心に訴えて、零細な浄財をい、ある日は、自分もともに、石をかつぎ、土を盛り、夜は河原の小屋に寝て、やっと近年、竣工しゅんこうを見たものであるという。
当然——これに対して五所川原代官所が、与右衛門の役所と協力して、処置にあたるのがほんとだが、その代官は、大溜池の竣工しゅんこうをながめても、欣ぶ色のなかった人物である。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
「多少、手がついておりますから、後三日もあれば難なく竣工しゅんこう——と、存じますが」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以前にまさる大館おおやかたが、もう八分どおり竣工しゅんこうしかけていた。門前町も、復興していた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長と云いわした当初の約束は確かにそうだったが、竣工しゅんこうを告げに帰ると
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金城きんじょう大坂の大規模な築城企画は、すでにその景観のあらましを竣工しゅんこうし終っていて、夜ともなれば、八層はっそう天守閣てんしゅかく、五重の城楼じょうろう、本丸、二の丸、三の丸にわたる無数の狭間はざま狭間から、あかるい灯が
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、その期間内の竣工しゅんこうを部下に求めてやまないのである。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
竣工しゅんこう移館の盛宴の席で、彼はみずから銚子を捧げて
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「皇居の御普請ごふしんも、あらまし竣工しゅんこうしたな」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)