磐城いわき)” の例文
磐城いわきの国では相馬そうま郡の信田沢しださわ石城いわき郡の深山田みやまだの如き名を挙げねばならぬでありましょう。昔から「磐城紙いわきがみ」の名で知られます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
それはさう大きな川ではなかつたけれども、磐城いわき山地を海岸から向うへと横断して行つた時には、二日も三日も同じ渓谷に添つて私は歩いた。
水源を思ふ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
最も有望といわれる産地、九州地方はさておき、江戸を中心としては静岡地方——それから常陸ひたちから磐城いわき岩代いわしろへかけて、採炭の見込みがある。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
陸中石巻の白山はくさん神社、磐城いわき倉石山の水分みくまり神社、九州では薩摩串木野の冠岳かんむりだけ(西)神社など、何れも旧来卯月八日を以て祭日としているのである。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
磐城いわきの夏井川や鮫川。常陸国ひたちのくにの久慈川に、那珂川などへ、早春の三月中旬頃、すでに河口めがけてさかのぼってくるのである。利根川も、同じことであった。
鱒の卵 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
此のお方がまだ芳野へおのりこみにならぬ前、磐城いわきと申す軍艦においであそばし品川に碇泊ていはくなされまする折、和国楼で一夜の愉快をつくされましたときに出たのが花里で
三春みはるの三帥社、会津あいずの愛身社、相馬そうまの北辰社、磐城いわきの興風社、酒田さかたの尽性社、盛岡もりおかの求我社、仙台の鶴鳴社、福島県下の岩磐二州会などは、日本にはじめての政治結社であった。
二男である父の惣次郎は、磐城いわきの炭坑に出稼ぎしていた。農村ならばどこでもその傾向はあるのだが、この上川崎村では、家を継ぐ長男をおいての二男三男は殊更に冷遇された。
和紙 (新字新仮名) / 東野辺薫(著)
足跡そくせき常陸ひたち磐城いわき上野こうずけ下野しもつけ信濃しなの、越後の六ヶ国にわたり、行程約百五十里、旅行日数二週間内外、なるべく人跡絶えたる深山を踏破して、地理歴史以外に、変った事を見聞けんもん
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
その火の最も名高きは宮島七不思議の第一にかぞえられている竜灯なるが、その他にも諸方にある奇観である。磐城いわきの国、平の赤井岳の竜灯も、東北ではずいぶん広く知られている。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
磐城いわき相馬そうまのは流山ぶしの歌にひびき渡りて、その地に至りしことなき人もよく知ったることなるが、しかも彼処といい此処といい、そのまつる所のものの共に妙見尊なるいとおかしく
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
出羽や磐城いわき地方に叛乱しだし、九州でも、筑前から薩摩方面で、あなどりがたい猛威をふるい、畿内きないの近くでさえ、紀伊の飯盛山いいもりやまに叛徒がこもって「世を前代にかえせ」と騒ぎだしている。
町はずれの隧道とんねるを、常陸ひたちから入って磐城いわきに出た。大波小波鞺々どうどうと打寄する淋しい浜街道はまかいどうを少し往って、唯有とあ茶店さてんで車を下りた。奈古曾なこそ石碑せきひ刷物すりもの、松や貝の化石、画はがきなど売って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と流しつつ、磐城いわき相馬郡そうまごおりへ入ってきた。
相馬の仇討 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
国の名で申しますと、陸奥むつ陸中りくちゅう陸前りくぜん羽後うご羽前うぜん磐城いわき岩代いわしろの七ヵ国となります。昔の「みちのく」即ち道の奥と呼んだ国のはてであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
左に磐城いわきの連山が並ぶ、その上に断雲が低く迷う——多くの場合、人間は海よりも山を見て、人生を悲しみたくなる。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
久慈川の谷はさう大してすぐれてゐるといふのではないが、磐城いわき常陸ひたちの境に、矢釜山やかまやまなどといふ奇勝がある。
行つて見たいところ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
磐城いわき相馬そうま地方などでは、彼らをテンバと呼んでいる。山の中腹の南に面した処に、いくつかの岩屋がある。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
他の二つは仙台の「木下駒」と磐城いわきの「三春駒」とで、郷土の香が著しく、形に特色があって忘れ難いものであります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
磐城いわき上遠野かとおの附近に住む人から、一友人への通信の中に、あの地方のワカが神明しんめいの祭をする時に、雀の孝行、燕の不孝の童話と、同じ内容の歌詞を唱えるといって
山形県に入ってはねずヶ関・三瀬さんぜの辺からしだいに多くなり、果もなく北の方へ続いている。太平洋岸でも常陸ひたちを過ぎて、磐城いわきの浜づたいをすると急にこの花の群れが盛んになる。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
磐城いわき絹谷きぬや村の絹谷富士は、富士とはいっても二百メートルほどの山ですが、これもちょうど地からき出した時に、ある婦人がそれを見て、山が高くなると大きな声でいったので
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
たしか仙台領にもこの例があったかと記憶するが、自分が高木誠一氏から聞いた所では、磐城いわき四倉浜にも村々から神輿を海岸へかついで出る風があって、その日がやはり四月八日であった。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
角力取草という名は車前おおばこその他色々の草に付与せられていますが、菫をそう呼ぶ地方が一番に広い。京大阪を中心として、北陸関東から磐城いわきの一部まで、西南は中国四国にも及んでいます。
磐城いわき双葉ふたば幾世橋きよはし村大字棚塩たなしお字ドブ谷地
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
磐城いわき石城いわき郡窪田村大字窪田字多田羅以
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
磐城いわき双葉ふたば郡大久村大字小久字加々部
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
磐城いわき相馬郡大甕おおがめ村大字しずく遠摸志とおぼし
ツクツクボウ 磐城いわき石城いわき