相間あいま)” の例文
ちょいちょい遊びにやってくる、私も仕事の相間あいま退窟たいくつわすれに、少なからず可愛かあいがってやった、頃は恰度ちょうど、秋の初旬はじめ九月頃だったろう
闥の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
彼は其所にある塩煎餅しおせんべいを取ってやたらにぼりぼりんだ。そうしてその相間あいま々々には大きな湯呑ゆのみへ茶を何杯もえて飲んだ。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
などという、いわんやいわに滴るのか、湯槽ゆぶねへ落つるのか、湯気の凝ったのか、湯女歌の相間あいま々々に、ぱちゃんぱちゃんと響きまするにおいてをや。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
高い方の山は、相間あいま々々にぽつぽつ遣れば好い為事である。当り前の分担事務の外に、字句の訂正を要するために、余所よその局からも、木村の処へ来る書類がある。
あそび (新字新仮名) / 森鴎外(著)
のみならず話の相間あいまにもアストラカンの帽をとり上げ、こんなことを僕に話しかけたりした。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
我々われわれ地方ちほう不作ふさくなのはピンぬまなどをからしてしまったからだ、非常ひじょう乱暴らんぼうをしたものだとか、などとって、ほとんひとにはくちかせぬ、そうしてその相間あいまには高笑たかわらいと、仰山ぎょうさん身振みぶり
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
次の間にはもう寝ているもののない、広々した住居に独りでポツネンと机にむかって、精密な珠算と細字とが、庭仕事の相間あいまに初まり、やがて庭仕事の方が相間にされるようになった。
家事の相間あいまを見て来るだけであったし、幸子の方から上本町へ訪ねて行っても、子供が大勢まつわり着くので、おちおち話している暇もなかったと云うような訳で、少くともこの二人の姉妹は
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
相間あいま相間に巧みなきっかけを入れて話の後を釣り出して行く吉川夫人のお手際てぎわを、黙って観察していたお延は、夫人がどんな努力で、彼ら四人の前に
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
が、それよりもさらにつらいのは、そう云う折檻せっかん相間あいま相間に、あの婆がにやりと嘲笑あざわらって、これでも思い切らなければ、新蔵の命を縮めても、お敏は人手に渡さないと、憎々しくおどす事でした。
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
と云うのは、向側むこうがわに腰をかけている母が、嫂と応対の相間あいま相間に、兄の顔をぬすむように一二度見たからである。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
浅い河床かわどこの真中を、少しばかり流れている水が、ぼんやり見える橋杭はしぐいの下で黒く消えて行く時、かすかに音を立てて、電車の通る相間あいま相間に、ちょろちょろと鳴った。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その相間あいま相間には、ちんちくりんな外套がいとうの羽根の下から手を出して、薄い鼻の下のひげでた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
電車の通り越した相間あいま相間にはさとられないくらいの視力を使って常に女の方を注意していた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)