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かんしゃくもち
ふりがな文庫
“
癇癪持
(
かんしゃくもち
)” の例文
彼は自分の
性急
(
せっかち
)
に比べると約五倍がたの
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
であった。けれども一種
天賦
(
てんぷ
)
の能力があって、時にその癇癪を
巧
(
たくみ
)
に殺す事ができた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
見る間に太る額の
蒼筋
(
あおすじ
)
、
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
の頭痛
病
(
やみ
)
にて、中年以来
丸髷
(
まるまげ
)
に結いしこと無き難物なれば、何かはもって
堪
(
たま
)
るべき。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
の
君
(
きみ
)
は真二つに斬り
下
(
さげ
)
んと刀の
束
(
つか
)
に手をかけたのを、最愛の
妾
(
おんな
)
が
傍
(
かたわら
)
から止めたので、命だけは
賜
(
たま
)
わって、国外に追放の身となったのである。
森の妖姫
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
またそんな伯父はきまって
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
で、怒りっぽいものです。だから、もしそんな人がいて、セエラのひどい様子を見たら、いい気持のするはずはありません。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
の親父のことだから、「間抜け奴! 鼻と耳を拾って来い!」と、頭から
怒鳴
(
どな
)
りつけるかも知れない。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
▼ もっと見る
宗右衛門は性質
亮直
(
りょうちょく
)
に過ぐるともいうべき人であったが、
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
であった。今から十二年
前
(
ぜん
)
の事である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼等は古びた中折帽を
阿弥陀
(
あみだ
)
にかぶった、
咽喉
(
のど
)
に
汚
(
よご
)
れた絹ハンカチを巻いた、金歯の光って眼の
鋭
(
するど
)
い、
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
らしい顔をした外川先生と、
強情
(
ごうじょう
)
できかぬ気らしい
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
目元きりゝっとして少し
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
と見え、
鬢
(
びん
)
の毛をぐうっと吊り上げて結わせ、立派なお羽織に結構なお
袴
(
はかま
)
を着け、
雪駄
(
せった
)
を
穿
(
は
)
いて前に立ち、
背後
(
うしろ
)
に
浅葱
(
あさぎ
)
の
法被
(
はっぴ
)
に
梵天帯
(
ぼんてんおび
)
を締め
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
三十二三のちょいと
好
(
い
)
い男だ——それと
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
の用人、石沢左仲の二人が切り盛りしています
銭形平次捕物控:051 迷子札
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
倦
(
う
)
まざる史家、
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
の父親として一生を終りました。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と、叱ったのは、
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
らしい若い声だ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
僕は
意地張
(
いじばり
)
という点において、どっちかというとむしろ陰性の
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
だから、
発作
(
ほっさ
)
に心を
襲
(
おそ
)
われた人が急に理性のために喰い留められて
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
小児
(
こども
)
の内は間抜けのようだったけれど、すっかり人が
異
(
かわ
)
って、
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
の乱暴な奴になったと見えるんだよ。……姉さん、
年紀
(
とし
)
がゆくと変るものかしら。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「何、旦那さん、
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
の、
嫉妬
(
やきもち
)
やきで、ほうずもねえ
逆気性
(
のぼせしょう
)
でね、おまけに、しつこい、いんしん不通だ。」
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
兄が英語をやって居たから家では少し
宛
(
ずつ
)
教えられたけれど、教える兄は
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
、教わる僕は大嫌いと来て居るから
到底
(
とうてい
)
長く続く
筈
(
はず
)
もなく、ナショナルの二位でお
終
(
しま
)
いになって
了
(
しま
)
ったが
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
秀
様
(
さん
)
実はね、大木戸の御前が例の
串戯
(
じょうだん
)
に
妖怪談話
(
ばけものばなし
)
をお始めなすって、もとこの邸は旗本の居た所で、
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
の殿様がお
妾
(
めかけ
)
を殺したっさ、久しいものだがその妄念が残っていて
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
細君はまた魚か蛇のように黙ってその憎悪を受取った。従って人目には、細君が何時でも品格のある女として映る代りに、夫はどうしても
気違染
(
きちがいじ
)
みた
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
として評価されなければならなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お夏さんは
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
なんだけれど、
婦人
(
おんな
)
だけにどうすることも出来ないんですから、癪なことは軍鶏と私とで引受けてるんで、ええ、可うごす、軍鶏と愛吉とで請合いましたと謂うと
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分は
癇癪持
(
かんしゃくもち
)
だけれども兄ほど露骨に突進はしない性質であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
癇
漢検1級
部首:⽧
17画
癪
漢検1級
部首:⽧
21画
持
常用漢字
小3
部首:⼿
9画
“癇癪”で始まる語句
癇癪
癇癪玉
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癇癪面