よみがへ)” の例文
それに今、また新らしく彼を見たその瞬間に、それは自然に青々といきほひづいてよみがへつて來たのだ! 彼は、私を眺めずに、私に戀させた。
しかしマタイの言葉によれば、「殿みや幔上まくうへより下まで裂けて二つになり、又地ふるひて岩裂け、墓ひらけて既にねたる聖徒の身多くよみがへ
続西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
氷嚢ひようなうや、注射ちうしやより、たゞかみつめたいのが、きつけにつて、幾度いくたびも、よみがへり、よみがへり、よみがへたびに、矢張やはりおなところに、ちやんとひざんでます。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
歌の句が片々に混雜こんがらがつて、そゝるやうに耳の底によみがへる。『あの時——』と何やら思出される。それが餘りに近い記憶なので却つて全體みなまで思出されずに消えて了ふ。四邊は靜かだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
われはこれを聽きて、力づきよみがへり、この頃になき歡喜は胸に滿ちたり。われはアヌンチヤタを愛し、ベルナルドオを愛せり。この瞬時の愛はかの天上の靈の相愛するにことならざるべし。
かうした凱旋兵がいせんへいの眼には如何いかなる苦惨な人生にも意義と幸福と悦楽とが見出された。それは特殊な苦しみを経てへと/\に疲れきつた者にのみ一時よみがへつて来る愚かな病的な錯覚であつた。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
彼の起ちしあとに宮は身支度を為るにもあらで、始てよみがへりたる人の唯在るが如くに打沈みてぞゐたる。ややひさしかるに客の起たんとする模様あらねば、老婢は又出来いできたれり。宮はその時にはか身㕞みづくろいして
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
緑の樹蔭こかげに掩はれた村、肥えて嬉々きゝとして戯れてゐる牧獣や家禽かきんの群、薫ばしい草花に包まれた家屋、清潔に斉然きちんと整理された納屋や倉、……よみがへつた農業! 愚昧ぐまいな怠慢な奴隷達から開放された
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
癩病らいびやうきよくし、したるものよみがへらせ、おにことをせよ。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
吉ちやんがそのとほりにしますと、娘はすぐよみがへりました。
夢の国 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
よみがへり、かつめぐり來て、「ししむら」のなぎさにあふれ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
このわが身中みうちに、このわが血液によみがへるべし。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
私は彼等の見交みかは眼差まなざしを思ひ起す。そしてその光景によつて起された或る感情さへも、この瞬間、私の記憶によみがへつてるのであつた。
下る時イエス彼等(ペテロ、ヤコブ、その兄弟のヨハネ)に命じて人の子の死よりよみがへるまでは汝等の見し事を
西方の人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
よみがへり照る人ののかげ。
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
程なく、私はパイロットが中庭のひつそりした犬小舍の外に遙か下の方で吠えるのを聞いた。希望はよみがへつた。それは理由がないでもなかつた。
が日によみがへ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)