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産毛
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うぶげ
ふりがな文庫
“
産毛
(
うぶげ
)” の例文
私は
遂
(
つい
)
には、
産毛
(
うぶげ
)
の先までも怖さが満ちて、たまらなくなって、突然立上ると、向うの隅のその男の方へツカツカと歩いて行った。
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
またその
殃禍篇
(
おうかへん
)
に、美濃の
御嶽
(
おんたけ
)
村の土屋某、
日来
(
ひごろ
)
好んで鶏卵を食いしが、いつしか頭ことごとく
禿
(
は
)
げて、
後
(
のち
)
鶏の
産毛
(
うぶげ
)
一面に生じたと載す。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
彼は彼女の
睫毛
(
まつげ
)
が触れるのを感じ、また、その嘲るような
眸
(
ひとみ
)
の片隅や、愛くるしい鼻つきや、もち上がった
唇
(
くちびる
)
の細かい
産毛
(
うぶげ
)
などを、自分のすぐそばに見た。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
真赤なぶよぶよの皮膚に、金色の
産毛
(
うぶげ
)
が透いて見えた。眺めていると、前から知ってる顔のような気がしてきた。それがじっと、何時までたっても動かなかった。
幻の彼方
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
桃色にすきとおった、ころころしたからだを銀色の
産毛
(
うぶげ
)
に包まれた子豚は、親豚に似つかぬきれいな、まるでびろうどのおもちゃが生きて動いているようであった。
大根の葉
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
▼ もっと見る
うすい
産毛
(
うぶげ
)
といい、細い手の指と言い、何一つ、
嫌悪
(
けんお
)
と好奇心とを、同時にそそらないものはない。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ビショット氏の皮膚が桃色であり、頭髪はもちろん
産毛
(
うぶげ
)
までも黄金色を呈していたからであった。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
産毛
(
うぶげ
)
のはえていない肉のしまった肌や黒い眼黒い髪がとつぜん恋しくなる時があるものだ。
放浪作家の冒険
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
しかし、私の眼は、缺け朽ちた小児の二の腕に、陽に光る新鮮な
産毛
(
うぶげ
)
を発見するに終つた。投げ出された膝がしらの切り口は、ギオレツト色の花傘を開いて私の上昇を祝福した。
断片
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
土のなかから
産毛
(
うぶげ
)
だらけの頭を持出して来る奴だが、このいたずらもののなかには、えぐい味のがあって、そんなのはどうかすると、食べた人に世の中を味気なく思わせるものだ。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
禿頭に
産毛
(
うぶげ
)
が生えた樣な此舊城の變方などは、自分がモ少し文學的な男であると
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と、腋の下からまだ乳首に有附かぬ兄弟が鼻面で割込んで来る。
奪
(
と
)
られまいとして、
産毛
(
うぶげ
)
の生えた腕を突張り大騒ぎ
行
(
や
)
ってみるが、到頭
奪
(
と
)
られて了い、又其処らを尋ねて、
他
(
ほか
)
の乳首に吸付く。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
若し自分のためを思つてくれる気があれば止めて貰ふわけには行くまいか、など話すにしたがつて胸の迫るかして、軍治は未だ
産毛
(
うぶげ
)
のある感じのする唇のあたりを引き締めるやうにし乍ら哀願した。
鳥羽家の子供
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
金色の粉を吹いたような
産毛
(
うぶげ
)
が淡紅色の
調
(
ととの
)
った顔をうずめて居る。
決闘場
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
又、そこに生えている薄黒い
産毛
(
うぶげ
)
も、一本一本
算
(
かぞ
)
えることが出来る程、ハッキリと眺められた。肉塊は早い息遣いと共に、まるで地震の様にゆれていた。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
薔薇
(
ばら
)
色の
豊頬
(
ほうきょう
)
をした金髪の少年で、頭髪を横の方できれいに分け、
唇
(
くちびる
)
のあたりには
産毛
(
うぶげ
)
の影が見えていた。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
殆んど皮膚と地並な白い
産毛
(
うぶげ
)
に包まれて、赤味がかった細かい縮れ髪の中で、宛も海藻の中に浮いている、小さな水母のように見えたり、生きた貝殼のように見えたりした。
人の国
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
産毛
(
うぶげ
)
が一面に生えていたが色はあざやかな
黄金色
(
こがねいろ
)
であった。人間の肌には相違ない。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
八つ手
痒
(
かゆ
)
いなあ、この茶色の
産毛
(
うぶげ
)
のあるうちは。
新緑の庭
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
桃色にゆだった、水蜜桃の皮の様にきめが
細
(
こまか
)
くて、眼にも見えぬ
産毛
(
うぶげ
)
の生えている、あれの肌から、モヤモヤと湯気の立つのを眺めるのが、わしは大好きであった。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
唇の上の薄黒い
産毛
(
うぶげ
)
、考え深いにこやかな眼つきをした明るい眼、肉づきのよい
頤
(
あご
)
、浅黒い手、丸っこい強健な腕、格好のよい首、そして肉体的な快活な高慢な様子をしていた。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それに
産毛
(
うぶげ
)
が黄金色じゃ。……細い細い突き傷が一つ。そのまた傷の鋭さときたら。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
八
(
や
)
つ
手
(
で
)
痒
(
かゆ
)
いなあ、この茶色の
産毛
(
うぶげ
)
のあるうちは。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「オヤッ、この人形には
産毛
(
うぶげ
)
が生えている。ホラ、
顎
(
あご
)
のところをごらんなさい。腕にも、
腿
(
もも
)
にも」
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
産毛
(
うぶげ
)
の
生
(
は
)
えたような水田を網目形に区切ってる青っぽい運河、その運河の中に映ってる日の光。
褐色
(
かっしょく
)
の細葉を
房々
(
ふさふさ
)
とつけ、
捩
(
ねじ
)
れた面白い
体躯
(
たいく
)
の
痩
(
や
)
せたしなやかさを示してる、秋の樹木。
ジャン・クリストフ:12 第十巻 新しき日
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
ゾーッと、からだじゅうの
産毛
(
うぶげ
)
が逆立ち、血流が逆流した。蘭子はもう無我夢中であった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と思うと、身体中の
産毛
(
うぶげ
)
が、ゾーッと逆立った。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
相手の熱い
呼吸
(
いき
)
が頬の
産毛
(
うぶげ
)
をそよがせた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「ホホホホホ、よくできた生人形でしょう。でも、すこうしよくでき過ぎていはしなくって? もっとガラスに近寄ってごらんなさい。ほら、この人たちのからだには、細かい
産毛
(
うぶげ
)
が生えているでしょう。産毛の生えた生人形なんて、聞いたこともないわね」
黒蜥蜴
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
産
常用漢字
小4
部首:⽣
11画
毛
常用漢字
小2
部首:⽑
4画
“産”で始まる語句
産
産褥
産屋
産衣
産土
産土神
産婆
産声
産湯
産着