猶豫いうよ)” の例文
新字:猶予
偖質屋よりは今日中猶豫いうよ致し明日は是非とも質物しちもつ相流し候旨ことわりに來りければ文右衞門は途方とはうにくれ如何はせんと女房お政に相談さうだんなしけるにお政も太息といき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何物なにものをもはらはねばむまいとする疾風しつぷうは、あかおきつゝしろはひ寸時すんじ猶豫いうよをもあたへないでまくつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
お細工仰せつけられしは當春の初め、其後すでに半年をも過ぎたるに、いまだ獻上いたさぬとは餘りの懈怠けたい、もはや猶豫いうよは相成らぬと、上樣の御機嫌さん/″\ぢやぞ。
修禅寺物語 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
父上は、主君への申譯、腹を切らうとなさいましたが、腹掻はらかき切つて出て來るといふ品では御座いません。——主君に申上げて、御驚きの中にも、三日だけ猶豫いうよを頂きました。
たゞ一つ卯平うへい野田のだくのをしばら猶豫いうよしてもらつて自分じぶんあひだすこしでも小遣錢こづかひせんかせいでたいとおもつた。しかしそれも直接ちよくせつにはせないので、れい桑畑くはばたけまいへだてたみなみたのんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
平次は立上がると、寸刻の猶豫いうよもなく、湯島一丁目まで飛んで行きました。
流して打喜び夫より藤五郎を請取うけとり駕籠かごに乘せいそぎ屋敷へ連歸つれかへりて委細ゐさいを主税之助へ申述ければ主税之助は大いにいきどほり偖々さて/\不屆千萬の次第奉行所の差※さしづなれば少しも猶豫いうよならずと早速座敷牢を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
きゝ玉ひ驚かれしが今更いまさらあとへ引返さんも如何なり何とかせんと猶豫いうよの内に最早御墨附の長持と行逢ゆきあふ程に成たりこゝいたつて雅樂頭殿はよんどころなく駕籠かごより下てひかへられ御墨附の通る間雅樂頭殿にはかしら
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)