パイ)” の例文
そう云えば帆村は、星尾のパイがよく見えるところから、そればかりに気をとめて、其の行動には余り注意をしていなかった。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その中、道子の自摸ツモの番となった。彼女は十四枚のパイを全部立てたまま並べて居たが、暫く考えて居た結果、いきなり七索チーソオを一枚すてて来た。
彼が殺したか (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
實際じつさいうんのつかないときたらこれほど憂欝いううつあそびはないし、ぎやくうんなみつて天衣無縫てんいむほうパイあつかへるときほど麻雀マージヤンこゝろよ陶醉たうすゐかんじるときはない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ウンウン真鍮張しんちゅうばりのトランクの中に麻雀八はこか……パイの中味は全部刳抜くりぬいて綿ぐるみの宝石か……古い手だな……。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ただ彼は中山の赤い大きな鼻を、よごれた紅中ホンチュンパイみたいな印象の風貌を思い浮べるだけであった。
黄色い日日 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
折々「チー」や「ポン」の懸声があちこちに起り、またガチャガチャとパイをかきまわす異国情調的な音が聴えて来ました。
赤耀館事件の真相 (新字新仮名) / 海野十三(著)
はばちたいといふためのその執拗しつえう努力どりよく勿論もちろんほかパイ使つかふことにでもなればなんやくたうはずもないのに、そんな骨折ほねをりをするといふ根氣こんきよさ、陰澁いんじふ
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
……この頃は蘇州そしゅうへ行って自分で指図をして日本人向きに彫らせる。……上海のはいけないのかい。フウン。彫りは派手だけれどもパイの出来は蘇州の方がいい……フウン。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
卓子を離れるときに、あたりを見廻すと、どの卓子もすでに客は帰ったあとで、白い真四角のクロースの上にいろどりさまざまのパイが、いぎたなく散らばっていた。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
とぼしいあかるさのなかでもこの木目もくめはこのパイとすぐわかるやうに努力どりよくするのだとふ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
ハラムは、そうした気持ちの妾を又も軽々と抱き上げて、ノッシノッシと歩きながら、へやの真中に在る紫檀したん麻雀マージャン台の前に来た。それはパイなんか一度も並べた事のない、妾達の食卓になっていた。
ココナットの実 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そして上家シャンチャの捨て牌をとって来て自分のパイ二枚と共に曝すわけだが、このとき上家シャンチャの捨て牌をとらずして、既にホウに前から捨てられてある牌をとって順子ジュンツをつくる。
麻雀インチキ物語 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まず最も多いインチキは、何といっても、故意こいにまちがったパイを持ちながらあがってしまうことである。その和りは、極めて得点がすくないのを通例とし、多くは二十二アルシーアル、又は二十四アルシースーである。
麻雀インチキ物語 (新字新仮名) / 海野十三(著)