片蔭かたかげ)” の例文
「え、どこか涼しいところで風呂に入って御飯を食べましょう。途中少し暑いですけれど、少しずつ片蔭かたかげになってきますから」
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
それとればにはかかたすぼめられてひとなければあはたゞしく片蔭かたかげのある薄暗うすくらがりにくるまわれせていこひつ、しづかにかへりみればれも笹原さゝはらはしるたぐひ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
持て我が寢所ねどころへ來りし故怪敷あやしくおも片蔭かたかげかくれてうかゝひしに夜着よぎの上より我をさし候樣子に付き取押とりおさへて繩をかけしなり此儀このぎ公邊おかみうつたへ此者を吟味ぎんみ致さんと云ひけるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すぐ翌日よくじつであつた。がこれちつ時間じかんおそい。女中ぢよちうばん買出かひだしに出掛でかけたのだから四時頃よじごろで——しかし眞夏まなつことゆゑ、片蔭かたかげ出來できたばかり、日盛ひざかりとつてもい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
添状そへじやうにて町奉行大岡殿へ引渡ひきわたし吉之助初瀬留の兩人は家主いへぬしあづけられたりさて喜八儀は火附盜賊に相違なしとて送りになりしかば直樣すぐさま入牢じゆらう申付られしに付き家主平兵衞は喜八を片蔭かたかげまね段々だん/\の樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)