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片々
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へんぺん
ふりがな文庫
“
片々
(
へんぺん
)” の例文
郁治はどうせそんな
片々
(
へんぺん
)
たるものを出したって、要するに道楽に過ぎんのだからやめてしまうほうが結局いいしかただと賛成する。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
世を弄ぶつもりの彼や純友一味の
輩
(
ともがら
)
も、結局は、時代の風に、
片々
(
へんぺん
)
の影を描いては消え去る落葉の
紛々
(
ふんぷん
)
と、何ら異なるものではなかった。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初めは
呻吟
(
しんぎん
)
、中頃は
叫喚
(
きょうかん
)
、終りは
吟声
(
ぎんせい
)
となり放歌となり
都々逸
(
どどいつ
)
端唄
(
はうた
)
謡曲
仮声
(
こわいろ
)
片々
(
へんぺん
)
寸々
(
すんずん
)
又継又続
倏忽
(
しゅっこつ
)
変化
自
(
みずか
)
ら測る能はず。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
片々
(
へんぺん
)
になったのや、継ぎ合わせてみるとどうやら一つの円い輪郭を成すようなものばっかり、ついに瓦々で玉手箱の底を払ってしまうと、お蘭どのが白っちゃけて
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
疾風
(
しつぷう
)
は
必
(
かなら
)
ず
其
(
そ
)
の
落葉
(
おちば
)
を
散亂
(
さんらん
)
せしめて、
火
(
ひ
)
は
遠
(
とほ
)
く
燃
(
も
)
えながら
走
(
はし
)
るにしても、
片々
(
へんぺん
)
たる
落葉
(
おちば
)
は
廣
(
ひろ
)
い
區域
(
くゐき
)
に
悉
(
ことごと
)
く
其
(
そ
)
の
俤
(
おもかげ
)
をも
止
(
とゞ
)
めないで
消滅
(
せうめつ
)
して
畢
(
しま
)
はねば
成
(
な
)
らぬのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
図中の旅僧は風に吹上げられし
経文
(
きょうもん
)
を取押へんとして
狼狽
(
ろうばい
)
すれば、
膝
(
ひざ
)
のあたりまで
裾
(
すそ
)
吹巻
(
ふきまく
)
られたる女の懐中よりは鼻紙
片々
(
へんぺん
)
として
木葉
(
このは
)
に
交
(
まじわ
)
り日傘
諸共
(
もろとも
)
空中に
舞飛
(
まいと
)
べり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
雲飛
(
うんぴ
)
の
子
(
こ
)
は
許可
(
ゆるし
)
を得て其
片々
(
へんぺん
)
を
一々
(
ひとつ/\
)
拾
(
ひろ
)
つて家に
持歸
(
もちかへ
)
り、
再
(
ふたゝ
)
び
亡父
(
なきちゝ
)
の
墓
(
はか
)
に
收
(
をさ
)
めたといふことである。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
又われ等は、盲目的信仰の価値に
就
(
つ
)
きては何事も知らない。むろん、素直に真理を受け入れ、
片々
(
へんぺん
)
なる疑心暗鬼の
煩
(
わずら
)
いから超脱する事は
甚
(
はなは
)
だ尊い。それは神心の現れで必ずや天使の守護に浴し得る。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
『仮面の由来』、これもまた
片々
(
へんぺん
)
たる小冊子である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
魔女は
箒
(
はうき
)
に
跨
(
またが
)
りながら、
片々
(
へんぺん
)
と空を飛んで行つた。
LOS CAPRICHOS
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
四方
(
あたり
)
は
幽翠
(
ゆうすい
)
な峰で、散り残った山ざくらが白く、七堂
伽藍
(
がらん
)
は、天野川の渓流が
繞
(
めぐ
)
るふところ谷にあり、山門へ渡る土橋から下をのぞくと、峰の桜が
片々
(
へんぺん
)
と流れにせかれて落ちてゆく。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
片
常用漢字
小6
部首:⽚
4画
々
3画
“片々”で始まる語句
片々靴
片々聞