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燭
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ひ
ふりがな文庫
“
燭
(
ひ
)” の例文
代筆とみえ、文辞も
拙
(
つたな
)
く、ただこんなふうに気負った言葉が書きつらねてある。武蔵は手紙を裂くと、それを
燭
(
ひ
)
にかざして焼いてしまった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その往っている方向に当って、月の陰になったように暗い所があって、そこから
燭
(
ひ
)
の光がきらきらと光っているのを見た。
太虚司法伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
ひんの好い一方のつくりで、今
燭
(
ひ
)
の映ったは萌黄に金の竜眼の
紐鎖
(
ぱちん
)
、どう見てもこの会が約束の品ではなく、会員中の
外飾好
(
みえずき
)
が特に召連て来たものと思われた。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
後に従いて先に見たる窟の口に到れば、女先ず鎖を開き
燭
(
ひ
)
を
点
(
とも
)
して、よく心し玉えなどいい捨てて入る。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
五日したらまた来るといった五通神の来るのを
懼
(
おそ
)
れて、その夜は婢や媼を内室の中へ寝かさずに外の
舎
(
へや
)
へやって、ただ一人で
燭
(
ひ
)
に向って悲しそうにして待っていた。
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
▼ もっと見る
平生からなじみのある仲にもかかわらず
燭
(
ひ
)
をあかあかともして勧める盃などを宮は落ち着いて受けておいでになったのはごりっぱなものであったなどと思い出していた。
源氏物語:51 宿り木
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
私は
燭
(
ひ
)
をつけて置けばよかつたと思つた。夜は物凄いやうに
眞暗
(
まつくら
)
で、私の魂は
壓
(
お
)
しつけられてしまつた。私は床の上に起き上つて、耳を澄したが、もう音は止んでゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
瑠璃の
燭
(
ひ
)
を吹く風も有らねば
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
燭
(
ひ
)
とりて窺ふ吾がけはひに
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
燭
(
ひ
)
を
秉
(
と
)
りて見し
短歌集 日まはり
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
夜はやや寒い一室には、白い
燭
(
ひ
)
のみがまたたいていた。この夜は、二人にとって、結婚の夜よりも、もっと清浄な情愛と、厳かなものを胸にうけた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
魚はその晩舟を湖村に繋いで
燭
(
ひ
)
の
側
(
そば
)
に坐っていた。と、鳥のようにひらりと入ってきて
几
(
つくえ
)
の前に立ったものがあった。みると
二十
(
はたち
)
ばかりの麗人であった。にっと笑って
竹青
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
燭
(
ひ
)
を消してしまっても、その腕釧の光が室の内を照らして明るかった。金はますます
駭
(
おどろ
)
いたが、とうとうその女がどこから来たかということを知ることができなかった。
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
蝋
(
ろう
)
の
燭
(
ひ
)
をだれかが差し出したかと思うような光があたりを照らした。
源氏物語:25 蛍
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
燭
(
ひ
)
をこそ消さまし、心ゆるに
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「
渭山
(
いやま
)
の城中に、なんで、江戸の隠密などがおりましょうぞ。夢をみておいでられたのであろう、おお、
方々
(
かたがた
)
、早く
燭
(
ひ
)
を——いつもより燭台を多く!」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庚娘は酒の器をさげて
燭
(
ひ
)
を消し、手洗にかこつけて室を出ていって、刀を持って暗い中へ入り、手さぐりに王の
項
(
くび
)
をさぐった。王はその
臂
(
うで
)
をつかんで
昵声
(
なれごえ
)
をした。庚娘は力まかせに切りつけた。
庚娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
そこで
燭
(
ひ
)
を消して二人で話した。
蓮香
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
湛空が隙間見た
燭
(
ひ
)
は白く冴えていた、氷の部屋のようにそこは冷たい、火の気のあろうはずはない。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
といって、
燭
(
ひ
)
を消して弓を構え、暗い中に身をかくして待っていた。
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
口のうちで唱えていた観音経の声が、我を忘れて次第に大きな声になってゆく、気がつくと急に声を落し、また、
燭
(
ひ
)
を
剪
(
き
)
っては、一刀三
礼
(
らい
)
のこころを像に向って
凝
(
こ
)
らした。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
昼だが、所々に、
燭
(
ひ
)
が置いてある。出入口には、見張の侍が眼光を
研
(
と
)
ぎ立てていた。
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ややしばし、
燭
(
ひ
)
の
影
(
かげ
)
が、畳にかすかな揺れを落しているだけだった。
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「彦右衛門。
燭
(
ひ
)
を、もすこし横へ寄せてくれい」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、龐統は席を
頒
(
わ
)
けて
燭
(
ひ
)
を
剪
(
き
)
った。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“燭”の解説
燭(しょく、記号:c.)は、かつて使用されていた光度の単位。燭光(しょっこう、英:Candle Power)あるいはキャンドル(candle)ともいう。蝋燭1本分の明るさを目安としている。
単位であることを区別するため「単位燭光」ともいうが、国によって異なるものがあった(英燭光、仏燭光、独燭光など)。
(出典:Wikipedia)
燭
漢検準1級
部首:⽕
17画
“燭”を含む語句
蝋燭
手燭
紙燭
燭光
燭火
大燭台
燭台
裸蝋燭
銀燭
百目蝋燭
蝋燭立
南天燭
秉燭
燭涙
大燭臺
百燭
電燭
華燭
燭臺
蝋燭屋
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