)” の例文
代筆とみえ、文辞もつたなく、ただこんなふうに気負った言葉が書きつらねてある。武蔵は手紙を裂くと、それをにかざして焼いてしまった。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その往っている方向に当って、月の陰になったように暗い所があって、そこからの光がきらきらと光っているのを見た。
太虚司法伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ひんの好い一方のつくりで、今の映ったは萌黄に金の竜眼の紐鎖ぱちん、どう見てもこの会が約束の品ではなく、会員中の外飾好みえずきが特に召連て来たものと思われた。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
後に従いて先に見たる窟の口に到れば、女先ず鎖を開きともして、よく心し玉えなどいい捨てて入る。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
五日したらまた来るといった五通神の来るのをおそれて、その夜は婢や媼を内室の中へ寝かさずに外のへやへやって、ただ一人でに向って悲しそうにして待っていた。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
平生からなじみのある仲にもかかわらずをあかあかともして勧める盃などを宮は落ち着いて受けておいでになったのはごりっぱなものであったなどと思い出していた。
源氏物語:51 宿り木 (新字新仮名) / 紫式部(著)
私はをつけて置けばよかつたと思つた。夜は物凄いやうに眞暗まつくらで、私の魂はしつけられてしまつた。私は床の上に起き上つて、耳を澄したが、もう音は止んでゐた。
瑠璃のを吹く風も有らねば
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
とりて窺ふ吾がけはひに
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
りて見し
短歌集 日まはり (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
夜はやや寒い一室には、白いのみがまたたいていた。この夜は、二人にとって、結婚の夜よりも、もっと清浄な情愛と、厳かなものを胸にうけた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
魚はその晩舟を湖村に繋いでそばに坐っていた。と、鳥のようにひらりと入ってきてつくえの前に立ったものがあった。みると二十はたちばかりの麗人であった。にっと笑って
竹青 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
を消してしまっても、その腕釧の光が室の内を照らして明るかった。金はますますおどろいたが、とうとうその女がどこから来たかということを知ることができなかった。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
ろうをだれかが差し出したかと思うような光があたりを照らした。
源氏物語:25 蛍 (新字新仮名) / 紫式部(著)
をこそ消さまし、心ゆるに
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
渭山いやまの城中に、なんで、江戸の隠密などがおりましょうぞ。夢をみておいでられたのであろう、おお、方々かたがた、早くを——いつもより燭台を多く!」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
庚娘は酒の器をさげてを消し、手洗にかこつけて室を出ていって、刀を持って暗い中へ入り、手さぐりに王のくびをさぐった。王はそのうでをつかんで昵声なれごえをした。庚娘は力まかせに切りつけた。
庚娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
そこでを消して二人で話した。
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
湛空が隙間見たは白く冴えていた、氷の部屋のようにそこは冷たい、火の気のあろうはずはない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
といって、を消して弓を構え、暗い中に身をかくして待っていた。
五通 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
口のうちで唱えていた観音経の声が、我を忘れて次第に大きな声になってゆく、気がつくと急に声を落し、また、っては、一刀三らいのこころを像に向ってらした。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昼だが、所々に、が置いてある。出入口には、見張の侍が眼光をぎ立てていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ややしばし、かげが、畳にかすかな揺れを落しているだけだった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「彦右衛門。を、もすこし横へ寄せてくれい」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、龐統は席をけてった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)