無法むはふ)” の例文
小児せうにの如くタワイなく、意気地いくぢなく、湾白わんぱくで、ダヾをこねて、あそずきで、無法むはふで、歿分暁わからずやで、或時あるときはおやま大将たいしやうとなりて空威張からゐばりをし
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
殺したなどとは無法むはふ云掛いひかけ然樣の覺えは更になし實に汝ぢは見下果みさげはてたる奴なり公儀おかみの前をもはゞからず有事無事ないこと饒舌しやべり立おのがことを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
無法むはふ水夫等すゐふら叱付しかりつけてつた人相にんさうわる船長せんちやう帽子ぼうしを、その鳶糸たこいと跳飛はねとばしたので、船長せんちやう元來ぐわんらい非常ひじやう小八釜こやかましいをとこ眞赤まつかになつて此方こなた向直むきなほつたが
向直むきなほつて、元二げんじかほをじろりとるやうにしてまねき、とかたちしやがんだが、何故なぜ無法むはふにくかつた。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あなたはあはれみを知らない、あなたがどんなに私を押し込んだか、どんなに無法むはふに亂暴に私を赤いお部屋へやに押し込んでじやうを下したか、私は死ぬ日まで忘れませんわ。
わがはい伊東忠太いとうちうたであつて、忠太伊東ちうたいとうではない。苗字めうじとを連接れんせつした伊東忠太いとうちうたといふ一つの固有名こいうめいを二つに切斷せつだんして、これを逆列ぎやくれつするといふ無法むはふなことはないはずである。
誤まれる姓名の逆列 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
開きたりソレの瀧ホラ向ふの岩奇絶妙絶と云ふうちには四五たんは馳せ過る馬車の無法むはふとばせ下は藍なす深き淵かたへは削りなせる絶壁やうやくに車輪をのするだけの崕道がけみちを容赦も酙酌しんしやくもなく鞭を
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
「好いね、のんきが可いね。」とおふくろは、上づツた聲で、無法むはふうれしがり、「一日でも可いから何うかして其様なことにしたいもんだ………何と謂われても管はない、私はのんきになりたいね。」
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
はなすべしと云に女房にようばうお政はをつとの歸りしを見て是は好所よきところへ御歸りなり今久兵衞さんが來られて餘り無法むはふな事を言懸いひかけらるゝにより思はず大きな聲を出せしなり其譯そのわけ一昨日をとゝひ良人あなた質物しちもつの日延を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)