永劫えいごふ)” の例文
と咄嗟に、私にも蒼空の下には飛び出せない我身の永劫えいごふのがれられぬ手械足枷てかせあしかせが感じられ、堅い塊りが込み上げて来て咽喉のどもとがつかへた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
我はかの光の中に、他の多くの光、輪を成して𢌞めぐるを見たり、但し早さに優劣まさりおとりあるはその永劫えいごふの視力の如何によりてなるべし 一九—二一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そこに永劫えいごふに枯れざるの花あり、これ汝のもつとも美しき恋人にあらずや。そこに永劫に絶えざるの清風吹く、これ汝の尤も親しき友にあらずや。兄弟にあらずや。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其の林や木立は、冬の暴風雨あらしの夜、終夜よすがらうなり通し悲鳴を擧げ通して其の死滅の影となツたのだ……雖然けれども鬪は終ツた。永劫えいごふの力は、これから勢力を囘復するばかりだ。
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
寒山拾得かんざんじつとくは生きてゐる。永劫えいごふ流転るてんけみしながらも、今日猶この公園の篠懸の落葉を掻いてゐる。
東洋の秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そして自分も一歩々々『永劫えいごふ虚空こくう』を自己の胸に掘つて居ると考へあたらざるを得なかつた。
「自分には、この世に、生れたり死んだりするものの外に何か永劫えいごふに変らない、少しのゆるぎすらないる理法と云つたやうなものが存在してゐるやうな気がしてならない。」
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
「打越、俺と貴公とは、永劫えいごふの世までも、並び立たないとは承知して居るであらうな」
「我を過ぎて憂愁の都へ、我を過ぎて永劫えいごふの憂苦へ、我を過ぎて滅亡の民へ……一切の希望をてよ、なんぢ等ここに入る者」——この地獄篇の歌が「考える人」に余韻しているとすれば
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
貴下こなた有分もちぶんるといへばらぬわけにはゆかぬが、てんぶん永劫えいごふ不滅ふめつぢゃ。
「ごりがん事三月十二日永劫えいごふの旅路に上りました。此段お知らせいたします。」
ごりがん (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
蘭若てらに帰り給ひて、三九二堂の前を深くらせて、鉢のままにめさせ、三九三永劫えいごふがあひだ世に出ることをいましめ給ふ。今猶三九四をろちつかありとかや。庄司が女子むすめはつひに病にそみてむなしくなりぬ。
それが永劫えいごふの時間の中では、どういふことになるのかねえ?……
曇つた秋 (新字旧仮名) / 中原中也(著)
さて責むな高きにのぼり君みずやあけの涙の永劫えいごふのあと
みだれ髪 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
永劫えいごふ經緯たてぬきにこそ織られたれ。——
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
神隨かんながらの王國を求むる本然永劫えいごふかわきわれらを運び、その速なること殆ど天のめぐるに異ならず 一九—二一
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
きしは三千年みちとせ永劫えいごふなほすすみて
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
永劫えいごふあひだにたなびきく。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
同じくこの永劫えいごふの春——夜の白羊宮もこれをかすめじ——に萌出もえいづる第二のみつの組は 一一五—一一七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
永劫えいごふたえぬ悲痛の傷うけて
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
永劫えいごふ、天と地とに
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
いな永劫えいごふ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)