東洋の秋とうようのあき
おれは日比谷公園を歩いてゐた。 空には薄雲が重なり合つて、地平に近い樹々の上だけ、僅にほの青い色を残してゐる。そのせゐか秋の木の間の路は、まだ夕暮が来ない内に、砂も、石も、枯草も、しつとりと濡れてゐるらしい。いや、路の右左に枝をさしかはせた …