梅子うめこ)” の例文
梅子うめこさん!梅子うめこさん!ぐに手套てぶくろつて頂戴てうだい!』とこゑがして、やがてパタ/\と梯子段はしごだんのぼちひさな跫音あしおとがしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
手紙てがみなかき込めて、二百円の小切手が這入はいつてゐた。代助は、しばらく、それをながめてゐるうちに、梅子うめこまない様な気がしてた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
物置の前では十五になる梅子うめこが、今鶏箱とりばこからひなを出して追い込みに入れている。雪子ゆきこもおもいかにもおもしろそうに笑いながら雛を見ている。
奈々子 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
荻江の文子ふみこさんが来て、小竹こたけ梅子うめこも内に遊んでゐましたといふに、そんなら呼べと座はにわかにぎやかになりぬ、三谷が梅子に可哀さうに風を引いてゐるといへば、お万引き取りて
そめちがへ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
このコンパクトですがネ、梅子うめこ——これは死んだ妹の名前なのです、梅子はもう五年もこのコティのものを使っていましたよ。ごらんなさい。ふたをあけてみると、この乱暴な使い方はどうです。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
代助は苦笑してだまつて仕舞つた。梅子うめこは代助の方へ向いて、椅子へ腰を卸した。せいのすらりとした、色の浅黒い、眉のい、唇の薄い女である。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其入口そのいりくちにはぴか/\した眞鍮しんちゆう表札へうさつに『山野兎やまのうさぎ』と其名そのなりつけてありました、あいちやんはこゑもかけずに二かいあがりました、眞實ほんと梅子うめこさんにつて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
代助は一寸ちよつとはなしめて、梅子うめこ肩越かたごしに、窓掛まどかけあひだから、奇麗なそらかす様に見てゐた。遠くに大きなが一本ある。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『オヤ、梅子うめこさん、其處そこなにをしてるの?はやつて手套てぶくろ扇子せんすとをつておで!はやくさ!』あいちやんのおどろきは如何いかばかりでしたらう、ぐにうさぎゆびさしたはうむかつてしました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
梅子うめこは代助の方へ向いて、椅子いすへ腰を卸した。せいのすらりとした、色の浅黒い、眉の濃い、唇の薄い女である。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
学校を卒業してすぐ、父の関係している会社へ出たので、今では其所そこで重要な地位を占める様になった。梅子うめこという夫人に、二人の子供が出来た。兄は誠太郎せいたろうと云って十五になる。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)