桑畑くはばたけ)” の例文
勘次かんじはそれでも分別ふんべつもないので仕方しかたなしに桑畑くはばたけこえみなみわびたのみにつた。かれふる菅笠すげがさ一寸ちよつとあたまかざしてくびちゞめてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これははちなしをたべるものですから、はちをよけるために紙袋かみぶくろをかぶせるのです。お勝手かつてよこには祖父おぢいさんのゑたきりがありました。そのきりしたは一めん桑畑くはばたけでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
今でもその住んでゐた城のあとはその村の西の一隅に草藪くさやぶになつて残つてゐるが、半ば開墾されて麦畠、豆畑、桑畑くはばたけになつてゐるが、それでもやかたあとだけは開墾するとたゝりがあると言つて
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
その與吉よきちみなみ女房にようばうから薄荷はくかはひつた駄菓子だぐわしを二つばかりもらつた。うら垣根かきねから桑畑くはばたけえてあるきながら與吉よきち菓子くわししやぶつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ふゆになると霜柱しもばしらつのでにはへはみんな藁屑わらくづだの蕎麥幹そばがらだのが一ぱいかれる。それが庭葢にはぶたである。霜柱しもばしらにはからさき桑畑くはばたけにぐらり/\とたふれつゝある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)