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桑畑
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くはばたけ
勘次はそれでも
他に
分別もないので
仕方なしに
桑畑を
越て
南へ
詑を
頼みに
行つた。
彼は
古い
菅笠を
一寸頭へ
翳して
首を
蹙めて
行つた。
これは
蜂が
來て
梨をたべるものですから、
蜂をよけるために
紙袋をかぶせるのです。お
勝手の
横には
祖父さんの
植ゑた
桐の
木がありました。その
桐の
木の
下は一
面に
桑畑でした。
今でもその住んでゐた城の
址はその村の西の一隅に
草藪になつて残つてゐるが、半ば開墾されて麦畠、豆畑、
桑畑になつてゐるが、それでも
館の
址だけは開墾すると
祟があると言つて
其夜與吉は
南の
女房から
薄荷の
入つた
駄菓子を二つばかり
貰つた。
裏の
垣根から
桑畑を
越えて
歩きながら
與吉は
菓子を
舐つた。
冬になると
霜柱が
立つので
庭へはみんな
藁屑だの
蕎麥幹だのが一
杯に
敷かれる。それが
庭葢である。
霜柱が
庭から
先の
桑畑にぐらり/\と
倒れつゝある。