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くはばたけ
そのお
雛は
井戸から
石段を
上り、
土藏の
横を
通り、
桑畠の
間を
通つて、お
家の
臺所までづゝ
水を
運びました。
黒い
枯枝や
黒い
木の
見えるお
家の
裏の
桑畠の
側で、
毎朝爺やはそこいらから
集めて
來た
落葉を
焚きました。
朝の
焚火は、
寒い
冬の
來るのを
樂しく
思はせました。
今でもその住んでゐた城の
址はその村の西の一隅に
草藪になつて残つてゐるが、半ば開墾されて麦畠、豆畑、
桑畑になつてゐるが、それでも
館の
址だけは開墾すると
祟があると言つて
其夜與吉は
南の
女房から
薄荷の
入つた
駄菓子を二つばかり
貰つた。
裏の
垣根から
桑畑を
越えて
歩きながら
與吉は
菓子を
舐つた。