トップ
>
杓
>
しゃく
ふりがな文庫
“
杓
(
しゃく
)” の例文
「お連れさんがそこへ来ていらっしゃいやすよ。」と言ってその顎を
杓
(
しゃく
)
った。その時にお増が後を振り
顧
(
かえ
)
った。磯野も振り顧った。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
尚
(
な
)
おその上、四国遍路に出る、その一人が
円髷
(
まるまげ
)
で、一人が
銀杏返
(
いちょうがえし
)
だったのでありますと、私は
立処
(
たちどころ
)
に
杓
(
しゃく
)
を振って
飛出
(
とびだ
)
したかも知れません。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして考えつかれるとやっと縫物をはじめるのだ。海苔のような
布片
(
ぬのきれ
)
を
杓
(
しゃく
)
るようにして、暗い糸を通したりしていた。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
瓶の向う側に「吐」の字が隠れているのを見落して、アトの「酒石酸」の三字だけを見ると、これだこれだというので早速
匙
(
さじ
)
で
杓
(
しゃく
)
ってドッサリ口に入れた。
無系統虎列剌
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
十銭の
牛
(
ぎゅう
)
を七人で食うのだから、こうしなければ食いようがなかったのである。飯は
釜
(
かま
)
から
杓
(
しゃく
)
って食った。高い二階へ大きな釜を
揚
(
あ
)
げるのは難義であった。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
あたかも
紫
(
むらさき
)
の雲のたなびけるがごとし。されどもついにそのあたりに近づくこと
能
(
あた
)
わず。かつて茸を採りに入りし者あり。白望の山奥にて金の
樋
(
とい
)
と金の
杓
(
しゃく
)
とを見たり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
五
勺
(
しゃく
)
のますと
石油
(
せきゆ
)
をくむ
杓
(
しゃく
)
があって、
男
(
おとこ
)
はその
杓
(
しゃく
)
を
青
(
あお
)
く
揺
(
ゆ
)
れる
液体
(
えきたい
)
の
中
(
なか
)
に
差
(
さ
)
し
込
(
こ
)
むせつな、七つ八つの
少年
(
しょうねん
)
が、
熱心
(
ねっしん
)
にかんの
中
(
なか
)
をのぞいて、その
強烈
(
きょうれつ
)
な
香気
(
こうき
)
をかいでいるのでした。
火を点ず
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
古い井戸側は半分朽ちて、まっ青な
苔
(
こけ
)
が厚くついていて、その水のきれいなこと、
溢
(
あふ
)
れる水はちょろちょろ流れて傍の田圃へ這入ります。
釣瓶
(
つるべ
)
はなくて、木の
杓
(
しゃく
)
がついていました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
「この寺は、貧乏寺だから、おさい銭はなるべくよけいにこぼして行きなよ。金持は、なおのことだ、一
杓
(
しゃく
)
の甘茶に、百貫の
金
(
かね
)
をおいてゆけば、百貫だけ苦悩がかるくなることはうけあいだ」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お上り。」と
一言
(
ひとこと
)
言って、
頤
(
あご
)
を
杓
(
しゃく
)
った。
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
莫迦
(
ばか
)
正直な夏は、私たちの気も知らずにぽかんとそんなことを言ったが、私はあっちイ行けと
顎
(
あご
)
を
杓
(
しゃく
)
った。
童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
……(前略)……
曾
(
かつ
)
て茸を採りに
入
(
い
)
りし者、白望の山奥にて金の
桶
(
おけ
)
と金の
杓
(
しゃく
)
とを見たり、持ち帰らんとするに極めて重く、鎌にて片端を削り取らんとしたれどそれもかなわず
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“杓(
柄杓
)”の解説
柄杓(ひしゃく)は水や汁物を掬うための道具。柄がついた器状をしている。
(出典:Wikipedia)
杓
漢検準1級
部首:⽊
7画
“杓”を含む語句
杓子
柄杓
肥柄杓
玉杓子
杓子定規
茶杓
一杓
杓子面
茶柄杓
馬柄杓
杓文字
干杓
一杓子
竹柄杓
水柄杓
湯柄杓
網杓子
小柄杓
柄杓子
杓柄
...