朧々おぼろ/\)” の例文
つきかげかげともしびかげゆきはな朧々おぼろ/\のあかりにも、かげのないひまはなし……かげあれば不氣味ぶきみさ、可厭いやさ、可恐おそろしさ、可忌いまはしさに堪兼たへかねる。
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
何處から何處までとその周圍も解らないが、兎に角朧々おぼろ/\とその水面の一部が輝いてゐるのである。
山寺 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
此消息このせうそく人目ひとめせきはヾかりもなく、玉簾たまだれやすやすえて、るは邂逅たまなる令孃ひめ便たよりをさとし日毎ひごとるばかり、事故よしありげなるこヽろそこも、此處こヽにはじめて朧々おぼろ/\わかれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
朧々おぼろ/\の物影のやをら浸み入りひろごるに
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
朧々おぼろ/\父母ちゝはゝ
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
はなして退すさると、べつ塀際へいぎはに、犇々ひし/\材木ざいもくすぢつてならなかに、朧々おぼろ/\とものこそあれ、學士がくし自分じぶんかげだらうとおもつたが、つきし、あしつちくぎづけになつてるのにもかゝはらず、影法師かげぼふし
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)