ばな)” の例文
貴様は酒が嗜きだと云う処から初めてわしが来て馳走に成りばなしでは済まんから、少し譲り難い物をろうか、是は容易に得難い酩酒で有る、いずれで出来るか其処そこは聞かんが
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私一向遣りばなしで、もの事を苦にはせんから、虫が知らせたというようなわけではない。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みじかしとくらこゝろ如何いかばかり長閑のどけかるらんころ落花らくくわの三ぐわつじんちればぞさそあさあらしにには吹雪ふゞきのしろたへ流石さすがそでさむからでてふうらの麗朗うら/\とせしあまあがり露椽先ぬれゑんさき飼猫かひねこのたまかるきて首玉くびたましぼばなゆるものは侍女こしもとのお八重やへとてとし優子ゆうこに一おとれどおとらずけぬ愛敬あいけう片靨かたゑくぼれゆゑする目元めもとのしほの莞爾につこりとして
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
入口の土間なんど、いにしえの沼の干かたまったをそのままらしい。廂は縦に、壁は横に、今も屋台は浮き沈み、あやう掘立ほったての、柱々、放ればなれに傾いているのを、かれは何心なく見て過ぎた。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)