拝跪はいき)” の例文
昔は土足をもって蹂躙じゅうりんしたるキリシタンの十字架も、今はキリスト教としてそのもとに拝跪はいきするものさえあるに至れり。試みに思え。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
彼らは、不死人の前では、拝跪はいきするばかり、卑屈だった。みな砂金の分け前にあずかっている者共であることをいわずして自白していた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今夜吾人は香炉の前に拝跪はいきし、吾人の心神を清浄にし、而て吾人の指を刺し、吾人の血を混じ、これをすすりて同生同死をちかう。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
かのゲッセマネの園に於ける神の子の無言の拝跪はいきの姿である、とするならば、オーガスチンの懺悔録もまた、俗臭ふんぷんということになるであろう。
思案の敗北 (新字新仮名) / 太宰治(著)
学術上の大進歩だとか云って私の前へ拝跪はいきする人が沢山出来ましょう、世界中の医学新誌などは争うて私の肖像を掲げましょう、けれど私は夫は嫌いだ
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
又は偉人といえども、細胞の偉大な霊能の前には無力同然……太陽の前の星の如く拝跪はいきしなければならない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
爾迦夷るかゐすなはち両翼を開張し、うやうやしくくびを垂れて座を離れ、低く飛揚して疾翔大力を讃嘆すること三匝さんさふにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきしてただ願ふらく、疾翔大力、疾翔大力
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
わたくしは幼少の頃からこの像の前に拝跪はいきし、朝な夕な看経かんきん供養をしてきました、ひと口に申せばこの釈迦牟尼仏に仕えてきたのです、いったいこれはどういうわけですか
荒法師 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
わたくしはわれをわすれて御神前ごしんぜん拝跪はいきしてこころから感謝かんしゃ言葉ことばべたことでございました。
歴たる公職にある者達が、身分も役柄も忘れて一町人の黄金力に、拝跪はいきするかのごとき屈辱的な振舞いをするからこそ、珠数屋のお大尽なる名もなきやからが増長しているに相違ないのです。
その前に拝跪はいきしたいような敬意を感じたものである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
「こんな山家にご領主をお泊め申すことは勿体ないやら有難いやらで、どうおもてなし致していいかわかりません」と、拝跪はいきしていった。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして大変悪いことには、その美を尊び拝跪はいきしようとはせず、専有しようとしますので、……穢そうとするのでございますの。よくないことでございます。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
爾迦夷るかいすなわ両翼りょうよくを開張し、うやうやしくくびを垂れて座をはなれ、低く飛揚ひようして疾翔大力を讃嘆さんたんすること三匝さんそうにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきしてただ願うらく、疾翔大力、疾翔大力
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かのドイツ人民もそれ今にして悟るところあるか。かのビスマルクの強頂傲鷙きょうちょうごうしなるなお第十九世紀の大勢力に向かっては泥中に拝跪はいきせり。いわんや他のビスマルクたらんと欲する人においてをや。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「今や、曹丞相のお下知によって乱賊馬軍の征伐にくだる。生命いのちを保ちたいと願うならば、中央政府の旗幟きしのもとに拝跪はいきせよ」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爾迦夷るかゐすなはち両翼を開張し、うやうやしくくびを垂れて座を離れ、低く飛揚して疾翔大力を讃嘆すること三匝さんさふにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきしてただ願ふらく、疾翔大力、疾翔大力
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
そして山中の道案内をつとめて、およそ十数里すすむと、かなたの地上、黒々と坐して拝跪はいきしている一団の人間がある。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爾迦夷るかいすなわ両翼りょうよくを開張し、うやうやしくくびを垂れて座をはなれ、低く飛揚ひようして疾翔大力を讃嘆さんたんすること三匝さんそうにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきしてただ願うらく、疾翔大力、疾翔大力
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
胸のうちでそう詫び入っているかのように、かれは長く拝跪はいきしていたが、やがて御所の新しい門やかきをながめあげて
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爾迦夷すなはち両翼を開張し、うやうやしくくびを垂れて座を離れ、低く飛揚して疾翔大力を讃嘆すること三匝さんさふにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきして願ふらく疾翔大力、疾翔大力、たゞ我等がためにこれを説き給へ。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
武将も役人もことごとく衣服の濡れるもいとわず于吉のまわりに拝跪はいきしたざまが、彼の眼には見るに耐えなかった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
爾迦夷すなわ両翼りょうよくを開張し、うやうやしくくびを垂れて座をはなれ、低く飛揚ひようして疾翔大力を讃嘆さんたんすること三匝さんそうにして、おもむろに座に復し、拝跪はいきして願うらく疾翔大力、疾翔大力、ただ我ためにこれを説き給え。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
次の日、彼は、ちょうに出仕して、呂布の見えない隙をうかがい、そっと董卓の閣へ行って、まずその座下に拝跪はいきした。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
董太師とうたいし郿塢びうへ還る。——と聞えたので、長安の大道は、拝跪はいきする市民と、それを送る朝野ちょうやの貴人で埋まっていた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「士はおのれを知る者の為に死すといいます。今、暗きを捨てて明らかなるに仕う日に会い、こんなうれしいことはありません」と、拝跪はいきしていった。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
張松は驚いて、馬を降り、あわてて路上に拝跪はいきの礼をとろうとすると、すでに玄徳も馬を降りて、その手を取り
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おどろいたのは、市吏や門吏の輩である。突然の行幸に、身のおくところを知らず、拝跪はいきして、御車を迎えた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この城の歴史よりも古くからある国柱くにのみはしらの神前にして、彼は拝跪はいきして体じゅうが凍るのもわすれていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、自分のみか、城中七百の忠勇な将士をして、敵の足もとへ、拝跪はいきさせるに耐えなかった。——どう考えても、武門を捨てて武人はない。そうしか思えなかったのである。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その中から、一群れの老民が道に拝跪はいきしながら進みでて、曹操の馬前に懇願こんがんした。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし主君の温言のてまえ、拝跪はいきして恩を謝し、黙々とその日は無口に退出した。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
二名の武士は、拝跪はいきしたまま動かぬ侯成の背に向って、かわるがわるに
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、今は拝跪はいきの礼もとらずに傲然ごうぜんという有様であった。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蒋林は病牀の下に拝跪はいきして、何くれとなく報告した。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頼朝は、三度、鶴ヶ岡に上って社前に拝跪はいきした。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
張均は、階下に拝跪はいきして
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)