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復讎
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ふくしゅう
ふりがな文庫
“
復讎
(
ふくしゅう
)” の例文
独身そのものを異性に対する一種の
復讎
(
ふくしゅう
)
とまで考えていた彼は、日頃
煩
(
わずら
)
わしく思う女のために——しかも一人の小さな姪のために
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
折れたか、と
吃驚
(
びっくり
)
して、拾い直して、
密
(
そっ
)
と机に乗せた時、いささか、
蝦蟆口
(
がまぐち
)
の、これで
復讎
(
ふくしゅう
)
が出来たらしく、
大
(
おおい
)
に男性の意気を発して
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼はすでに破産者になっているだろう——狼狽と
擾乱
(
じょうらん
)
と滅亡とそして眼には見えない悲惨との犠牲者になっているだろう……二重の
復讎
(
ふくしゅう
)
になって……
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
「親の喪におりますから困ります。それに
復讎
(
ふくしゅう
)
するつもりですから、女を
伴
(
つ
)
れていては手足まといになるのです。」
庚娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
その出て行くときの彼女の礼節を無視した様子には、
確
(
たしか
)
に、長らく彼女を
虐
(
いじ
)
めた病人と病院とに
復讎
(
ふくしゅう
)
したかのような快感が、
悠々
(
ゆうゆう
)
と彼女の肩に現われていた。
花園の思想
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
▼ もっと見る
自分に隠して長いあいだお島を
庇護
(
かばい
)
だてして来た父親に対する何よりの気持いい
復讎
(
ふくしゅう
)
であるらしく見えた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
しかし吾輩は
復讎
(
ふくしゅう
)
を考えている。あいつの羽を切って、そいつに厚紙で
拵
(
こしら
)
えた車を、
磐石糊
(
ばんじゃくのり
)
という奴で張り附けて
曳
(
ひ
)
かせると、いつまでも生きていて曳くからね。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
復讎
(
ふくしゅう
)
、復讎、世に心よきはにくしと思う人の血をすすって、その
頬
(
ほお
)
の一
臠
(
れん
)
に舌鼓うつ時の感なるべし。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
後
(
のち
)
に小野庄左衞門は蟠龍軒から
怨
(
うらみ
)
を受け、遂に
復讎
(
ふくしゅう
)
の根と相成りまするが、お話変ってこれは十二月二十三日の事で、
両国
(
りょうごく
)
吉川町
(
よしかわちょう
)
にお村と云う芸者がございましたが
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
然
(
しか
)
しどうなっても構わない、断るんです。貴方が僕に
復讎
(
ふくしゅう
)
している間は断らなければならないんです
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
想像に
難
(
かた
)
くはない。そこでその二人に対して恐ろしい
復讎
(
ふくしゅう
)
を思い立ったのだ。恋の敵の雪子を殺し、その死骸に自分の着物を着せて、大宅君に殺人の嫌疑がかかる様に仕組んだのだ。
鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
わが国古来のいわゆる「かたき
討
(
うち
)
」とか、「
仇討
(
あだうち
)
」とかいうものは、勿論それが
復讎
(
ふくしゅう
)
を意味するのではあるが、単に復讎の目的を達しただけでは、かたき討とも仇討とも認められない。
かたき討雑感
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかも鼠を捕ろうとして取り
遁
(
に
)
がすと、その
復讎
(
ふくしゅう
)
が最も怖ろしいものと信じられて、常の日も決して彼らの本名を口にせず、家々村々には色々の
忌言葉
(
いみことば
)
があって、たとえば
殿
(
との
)
がなし、
家主
(
やぬし
)
がなし
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
(女の決心は、男の決心よりも強い。その今、流している涙を十倍にして、敵党へ叩きつける決心をするのだ。父の分、母の分、兄の分、姉の分を、自分一人で背負って、
復讎
(
ふくしゅう
)
する決心をしておれ)
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
兵さんは無論
復讎
(
ふくしゅう
)
する
心算
(
つもり
)
らしかった。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
独身は彼に取って女人に対する一種の
復讎
(
ふくしゅう
)
を意味していた。彼は愛することをすら恐れるように成った。愛の経験はそれほど深く彼を
傷
(
きずつ
)
けた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
怨
(
うらみ
)
と、
僻
(
ひがみ
)
と
憤
(
いきどおり
)
とをもって見た世に対して、
謂
(
い
)
わば
復讎
(
ふくしゅう
)
的に
己
(
おのれ
)
が腕で幾多
遊冶郎
(
ゆうやろう
)
を活殺して、その
肉
(
み
)
を
啖
(
くら
)
い、その血を
嘗
(
な
)
むることをもって、精魂の痛苦を
癒
(
いや
)
そうとしたが
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
討ちもらした二つの怪しい物が
復讎
(
ふくしゅう
)
に来るかも判らないので、万にいてもらうことにして、その豕を焼き馬を煮て御馳走をこしらえたが、その味はいつもの料理とちがってうまかった。
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
にくしと思う川島片岡両家の
関鍵
(
かんけん
)
は実に浪子にありて、浪子のこの肺患は取りも直さず天特にわれ千々岩安彦のために
復讎
(
ふくしゅう
)
の機会を与うるもの、病は伝染致命の大患、武男は多く家にあらず
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
兇暴なお島は、夢中で水道の
護謨栓
(
ゴムせん
)
を向けて、男の
復讎
(
ふくしゅう
)
を防ごうとした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
独身を一種の
復讎
(
ふくしゅう
)
と考えるほど、それほど女性を
厭
(
いと
)
い
悪
(
にく
)
むものでは無かった。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
人びとは一緒に王母子の
尸
(
しがい
)
を
験
(
しら
)
べた。窓の上に一つの
凾
(
はこ
)
があった。開けて見ると庚娘の書いた物があって、
精
(
くわ
)
しく
復讎
(
ふくしゅう
)
の事情を記してあった。皆庚娘を烈女として尊敬し、金を集めて葬ることにした。
庚娘
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
復
常用漢字
小5
部首:⼻
12画
讎
漢検1級
部首:⾔
23画
“復讎”で始まる語句
復讎心