あゝ)” の例文
それでも私は斯うしたいのあゝしたいのと、勝手な熱を吹くことは出来ませんから、お若も是非がない、義理にせめられて
私は小鹿野をかのの奥の権作ごんさくと申しますもので、長左衛門様には何程どれほど御厚情をかうむりましたとも知れませぬ、——さわぎで旦那様はあゝした御最後——が
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
なに叔母をばさんのはうぢや、此方こつち何時迄いつまで貴方あなたことはふしたまんま、かまはずにくもんだから、それであゝおつしやるのよ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
拭ひ主個あるじ親子に禮をのべ和吉を引連ひきつれ立出ながら跡へ心ののこりけるが見返り/\路次口ろじぐちへ出でゆく姿を娘もまた殘り惜氣をしげに見送りける斯くて長三郎は戸外おもてへ出ながら思ひつゞける娘がことあゝいふ女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かし、貴様、剛造の様な食慾無情の悪党に、あゝいふ令嬢むすめの生まれると云ふのは、理解すべからざることだよ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
余儀なくういう処へ入らしって、其の内あゝいう杜漏ずろうな商売の中にいて貴方あんたが正しく私は武士さむらいの娘だがという行いを、当家の主人がちゃんと見上げて、是こそ女房という訳で
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此頃このごろあゝいふものが、大變たいへんたとはなしぢやありませんか
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
気早の連中が大立腹おほはらだち闇打やみうちを食はせる、憲兵がつて来るワ、高崎から鎮台が押し寄せるワ、到頭たうとう長左衛門様は鉄砲に当つて、あゝしたことにお成りなされましたので——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
おかめはこれをいゝ機会しおにして分家へ話をすれば、分家のじゝいは堅いから多助を追出すのは手間暇いらずだから、斯ういう都合にしましょう、あゝいう都合にしましょうと密々話ひそ/\ばなしをしている所へ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)